診療マル秘裏話  号外Vol.1322 平成30年11月2日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)シナプス の長期抑圧現象の調節メカニズムを解明
2)デジタルアート使用のリハビリデジリハの開発















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 シナプス の長期抑圧現象の調節メカニズムを解明











 群馬大学は10月5日、忘却の
脳内メカニズムの鍵となるシナ
プスの長期抑圧現象の調節メカ
ニズムを解明したと発表しまし
た。この研究は同大大学院医学
系研究科神経薬理学分野の白尾
智明教授らの研究グループによ
るものです。研究成果は「Fron
tiers in Cellular Neuroscien
ce」に掲載されています。

ヒトの脳は、神経細胞から神経
細胞へと電気信号を伝達する事
によって働いています。神経細
胞間のつなぎ目であるシナプス
では、信号伝達が長期間にわた
って起こりやすくなる、「長期
増強」と、逆に信号伝達が起き
にくくなる「長期抑圧」が起こ
り、学習や忘却が起こります。
つまり、記憶はシナプスの機能
変化として脳に蓄えられており、
この機能をシナプス可塑性とい
います。

近年のマウスを用いた研究では、
脳の発達が盛んな幼弱期には、
長期増強と長期抑圧が頻繁に起
こるのですが、正常な成熟脳で
は長期抑圧はあまり起こらない
ことが分かっています。一方、
大きなストレスが加わったマウ
スや、自閉症スペクトラム障害
や認知障害などの病気のモデル
マウスでは、成熟後も長期抑圧
が起こりやすくなっていること
が知られています。記憶・学習
能力が正常な脳では、なぜ成熟
すると長期抑圧が起こらなくな
るのかについては、今までほと
んど判明していませんでした。

ドレブリンは、白尾教授が30年
以上前に発見した記憶や忘却に
重要な働きをする蛋白質です。
生まれたばかりの脳のドレブリ
ンは体の他の細胞と同じE型(
ドレブリンE)ですが、成熟し
た神経細胞では、ドレブリン遺
伝子の選択的スプライシングの
パターンが変わり、神経細胞に
特有のA型(ドレブリンA)を
作るようになります。

研究グループは今回、A型ドレ
ブリンを作らない遺伝子組み換
えマウスを作製し、記憶・学習
に重要な脳部位である海馬から
作成した急性スライス標本を用
いて、ドレブリンAを作れない
マウスがドレブリンEを作り続
けた結果、成熟後も長期抑圧が
起こることを解明しました。長
期抑圧はそれを引き起こす受容
体との関連で、NMDA型グルタミ
ン酸受容体依存性と代謝型グル
タミン酸受容体依存性に分かれ
ますがドレブリンAがない場合
に引き起こされる長期抑圧は、
代謝型グルタミン酸受容体依存
性長期抑圧のみだったという事
です。この結果から、A型ドレ
ブリンは代謝型グルタミン酸受
容体依存性長期抑圧が起こるメ
カニズムを抑制していること、
そして、病気の脳で長期抑圧が
起こりやすくなっているのは、
A型ドレブリン欠乏のためでは
ないかと考えられるとしていま
す。

長期抑圧は忘却に必須の現象と
考えられていますが、その異常
亢進は記憶・学習の妨げとなり
ます。実際に、長期抑圧が亢進
していると推察される脆弱性X
症候群では記憶・学習障害があ
り、アルツハイマー病のような
認知症でも長期抑圧が亢進して
いることが示唆されています。
 今回の発見は、脳機能の理解
を深めるのみではなく、記憶・
学習障害が出現する脳機能障害
の病態解明や治療法の開発に繋
がることが期待される、と研究
グループは述べています。

記憶のメカニズムについて解説

している動画です。

 

 

 

 



 寵姫が皇帝に長期間愛される。















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2】 デジタルアート使用のリハビリデジリハの開発














 障害や病気がある子ども向け
に、デジタルアートを使ったリ
ハビリ「デジリハ」の開発を都
内のNPO法人が進めています。
壁や床に投影した映像で遊びな
がらリハビリができる内容です。
開発は難病の子どもを持つ母親
を中心に、プログラミングを学
ぶ子どもも参加しています。10
月10日に東京ビッグサイト(東
京都江東区)で始まる国際福祉
機器展で、デジリハの体験コー
ナーが設けられます。

 千葉県松戸市の千葉西総合病
院のリハビリ室。手足にまひが
あり同院へリハビリに通う特別
支援学校小学部3年の斉藤千華
さん(8)が、壁に投影された
うさぎを夢中で見つめていまし
た。千華さんは両手で操作用の
ボードを握り、腕を左右に振る
と、うさぎも左右に動きます。

 空から降るハートやりんごを
うさぎがキャッチすると得点が
増え、ゲームは見事にクリアし
ました。「もう1回やりたい!」
と繰り返す千華さんの姿に母親
の明美さん(44)は、「普段の
リハビリは途中でグズっちゃう
こともあるけれど、今日は本当
に楽しそう」と笑顔を見せまし
た。

 デジリハを開発するのは音楽
やアートで、医療や福祉の課題
解決を目指す都内のNPO法人
「Ubdobe(ウブドベ)」
です。代表の岡勇樹さん(37)
が、映像が人の動きに反応して
動くデジタルアートで遊ぶ子ど
もたちを見て、「リハビリに生
かせないか」と考え、開発に乗
り出しました。

 同法人は今後、様々な障害に
合ったリハビリができるデジリ
ハのモデルを作り、2020年まで
に全国に広げたいという事です。
国際福祉機器展は10月12日まで。
デジリハに関する問い合わせは
、同法人(info@ubdobe.jp)へ。

デジリハについて解説している

動画です。

 

 

 

 



 勇樹さんが勇気を出して猛進
する。笑















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編集後記




 忘却の脳内メカニズムの鍵と
なるシナプスの長期抑圧現象の
調節メカニズムを、解明したと
発表したのは偉大な業績です。
ヒトの脳は、神経細胞から神経
細胞へと電気信号を伝達する事
によって働いていて、神経細胞
間のつなぎ目である、シナプス
では、信号伝達が長期間にわた
って起こりやすくなる、「長期
増強」と、逆に信号伝達が起き
にくくなる「長期抑圧」が起こ
り、学習や忘却が起こります。
つまり、記憶はシナプスの機能
変化として脳に蓄えられており、
この機能をシナプス可塑性とい
うということは重要な基礎知識
であると思われます。その基礎
知識を踏まえた上で今回の発見
で、脳機能の理解を深めるのみ
ではなく記憶・学習障害が出現
する、脳機能障害の病態解明や
治療法の開発にぜひつなげて頂
きたいものです。
 障害や病気がある子ども向け
に、デジタルアートを使ったリ
ハビリ「デジリハ」の開発を都
内のNPO法人が進めていると
いうのは喜ばしいことです。私
の父の時代は、電車の車両の中
にいる人は、本を読んでいまし
た。私の時代は、電車の車両の
中にいる人は、漫画を読んでい
ました。更に、私の子供や孫の
世代では、電車の車両の中にい
る人は、スマートフォンでゲー
ムをしているように、なったの
です。すなわち、時代時代によ
って、大衆受けするメディアが
変遷しているのです。大衆受け
あるいは、訴求力に富んだメデ
ィアを使わなければ、伝わって
行かないと考えるべきでしょう。
デジタルアートを巧みに使う事
で、障害や病気がある子どもに
訴求する力をつけることは何ら
恥じることは、ないのです。要
は、簡単で、心に響くメディア
で、夢中になっている内にリハ
ビリが終わっているという体裁
が取れれば、万々歳ということ
でしょう。

 木曽で基礎工事を行う。笑
















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