診療マル秘裏話  号外Vol.1327 平成30年11月8日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)魚を殆ど食べない人で大動脈疾患の死亡が増加
2)癌細胞がプレート上で増殖し腫瘍になっていく映像















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 魚を殆ど食べない人で大動脈疾患の死亡が増加











 国立がん研究センターは10月
15日、魚をほとんど食べない人
で大動脈疾患(大動脈解離・大
動脈瘤)による死亡が増加する
ことを世界で初めて明らかにし
たと発表しました。この研究は、
国がん社会と健康研究センター
の井上真奈美部長、筑波大学医
学医療系の山岸良匡准教授らの
研究グループによるものです。
研究成果は「Clinical Nutriti
on」オンライン版に公開されて
います。


大動脈疾患は、かつては日本で
の死亡率は高くなかったが、高
齢化に伴って近年やや増加して
います。大動脈瘤が破裂、解離
すると、医療が進んだ現代でも
急速に死に至ることが多く予防
が重要です。同疾患は主に動脈
硬化が基盤として生じることか
ら、心筋梗塞と同様に魚に予防
効果があると考えられていまし
た。しかし、がんや脳卒中など
に比べると症例が少なく、大規
模コホート研究であっても単独
での検討が困難で、科学的エビ
デンスはほとんどありませんで
した。

研究グループは、日本の8つの
大規模コホート研究から36万人
以上を統合したプール解析を行
い、日本人における魚摂取頻度
と、大動脈疾患死亡リスクとの
関連を分析しました。同プール
解析に参加したのは、国立がん
研究センターによる多目的コホ
ート研究のJPHC-I(4万7,753人)
とJPHC-II(5万9,502人)、JAC
C 研究(9万0,791人)、宮城県
コホート研究(4万2,151人)、
大崎国保コホート研究(4万3,6
35人)三府県宮城コホート研究
(2万4,038人)、三府県愛知コ
ホート研究(2万8,098人)、三
府県大阪コホート研究(3万0,0
80人)。それぞれのコホートで
使用している食習慣アンケート
調査結果から、魚摂取頻度を、
ほとんど食べない、月1~2回、
週1~2回、週3~4回、ほとんど
毎日の5つの群に分けました。
循環器疾患の主なリスク要因を
統計学的に調整した上で、ほと
んど食べない群に対する他の群
の大動脈疾患死亡リスクを算出
し、その後、全てのコホートの
結果を統合しました。

その結果、魚を週1~2回食べる
群と比べ、ほとんど食べない群
では、大動脈解離で死亡するリ
スクが2.5(95%信頼区間1.1-5
.5)倍、大動脈瘤で2.0(同0.9
-2.1)倍、これらをあわせた大
動脈疾患全体では1.9(同1.1-3
.3)倍高くなりました。一方、
月に1~2回食べる群では、魚を
週1~2回食べる群と比べて大動
脈解離で死亡するリスクの上昇
は見られませんでしたが、大動
脈瘤で1.9(同0.9-4.0)倍とや
やリスクが上昇する傾向が見ら
れました。また、週3~4回食べ
る群、ほとんど毎日食べる群で
は、リスクの大きさは変わらな
かったということです。

今回の研究では、魚をほとんど
食べないような非常に摂取頻度
が少ない場合に、大動脈疾患で
死亡するリスクが上がり、魚を
摂取する機会が、少なくとも月
1~2回あれば、大動脈疾患で死
亡するリスクは高くならない事
が判明しました。このことから、
魚の摂取が極端に少なくならな
いことが大動脈疾患死亡を予防
するために重要だと考えられま
す。 なお、魚の高摂取は心筋
梗塞のリスクを低下させること
がわかっているため摂取が極端
に少なくならないよう気をつけ
るだけでなく、より多く摂取し
ていくことが循環器疾患予防に
つながると考えられます。

大動脈疾患が生活習慣について

解説している動画です。

 

 

 

 



 機械を操作する機会を与える。
















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2】 癌細胞がプレート上で増殖し腫瘍になっていく映像














 がん細胞がプレート上で動き
回って増殖し、腫瘍になってい
く映像の撮影に、北海道大医学
部の宮武 由甲子ゆきこ助教(4
5 )(実験病理学)らの研究グ
ループが成功しました。

 半導体基板の技術を応用し、
約50ナノ(1ナノは1ミリの1
00万分の1)の凹凸がある培
養プレートを制作しました。こ
の凹部分を、がん細胞が腫瘍に
成長する足場としました。映像
では、膵がん細胞が触手を伸ば
して周囲の死んだ細胞を取り込
み、近くの別の腫瘍と合体して
大きくなる様子などが確認され
ました。論文は英電子版科学誌
「サイエンティフィック・リポ
ーツ」に掲載しました。映像は
ユーチューブで閲覧できます。

 宮武助教は「がん細胞が周辺
の死んだ細胞の分子をまとうの
は、人体の免疫システムの攻撃
を免れるためではないか」と話
しています。

 西原広史・慶応大医学部腫瘍
センター特任教授の話「患者一
人一人のがん細胞に抗がん剤が
効くかどうかを、プレート上で
簡単に判断できる可能性があり、
画期的な研究と思う」

がんのリスクを高める食品につ

いて解説している動画です。

 

 

 

 



 半導体基板の技術を基盤に据
える。笑















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編集後記




 魚をほとんど食べない人で大
動脈疾患(大動脈解離・大動脈
瘤)による死亡が増加すること
を世界で初めて明らかにしたと
発表したのは、偉大な業績です。
アメリカ人のように、ほとんど
小型の魚(鰯、鯵、鯖、秋刀魚
等)を食べない人が多いとこの
ような研究は、成り立たないと
思います。事実、アメリカで魚
といえば、ツナ(マグロの肉)
のことを指すことが多く、ツナ
で良い成績がでなかったから、
魚は、食べても疾病に影響を及
ぼさないというような論文を見
かけたことがあります。非常に
偏見に満ちた考え方だと私は思
いますが、世界では、それで、
まかり通るという国が存在する
ことだけは、頭に置いておいて
頂きたいと思います。
 がん細胞がプレート上で動き
回って増殖し、腫瘍になってい
く映像の撮影に成功したのは、
素晴らしい業績だと思います。
しかし、プレート上と人間の体
の中では、違うということを申
し上げたいと思います。実際に
プレートの上では、がん細胞が
死滅する抗がん剤でも臨床試験
をしてみるとほとんど効果が認
められないなどということが、
起きるのです。がん細胞が周辺
の死んだ細胞の分子をまとうの
は、人体の免疫システムの攻撃
を免れるためではないかと想像
するのは、治療をする上で本当
に重要だと思います。ただ免疫
細胞も、体の中にいる時とプレ
ートの上では、働きが違う可能
性があります。あらゆる可能性
を考えながら新しい治療を模索
しないと、落とし穴にはまる可
能性が高くなることを忘れては
なりません。

 人体模型で靭帯を探す。笑
















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