診療マル秘裏話  号外Vol.1382 平成31年1月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)高安病関連の新規遺伝子発見し病態メカニズム解明
2)脳深部脳波を患者自らが制御して変える新技術














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








  
1】 高安病関連の新規遺伝子発見し病態メカニズム解明











 京都大学は12月17日、高安病
に関連する新規遺伝子を発見し、
その病態メカニズムを解明した
と発表しました。この研究は、
同大大学院医学研究科 内科学
講座臨床免疫学分野の寺尾知可
史非常勤講師(理化学研究所生
命医科学 研究センター 副チー
ムリーダー)と、吉藤元助教ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、国際学術誌「PNAS
(米国科学アカデミー紀要)」
にオンライン掲載されています。


高安病(高安動脈炎/大動脈炎
症候群)は、主に若年の女性に
発症し、大動脈およびその主要
分枝における動脈の炎症を主体
とする全身性血管炎です。高安
病の原因としては遺伝的要因や
感染症などの環境的要因が推定
されていますが、原因は明らか
ではありませんでした。

研究グループは、2013年に世界
で初めて高安病を対象とした全
ゲノム関連解析(GWAS)を行い、
IL12B遺伝子を含む2遺伝子が高
安病と関わることを示していま
した。このIL12B は、同時期に
トルコ・アメリカのグループか
らも高安病との関連が報告され、
人種共通の感受性遺伝子である
ことも示されていました。今回
研究グループは、各施設の患者
さんに加えて高安病の患者団体
「あけぼの会」から協力を得て
患者さんのDNA を収集しました。
国内患者さん(約6,000 人)の
10%以上の検体を集めて高安病
の全ゲノム関連解析を行い、新
規関連遺伝子を6つ発見しまし
た(PTK2B、LILRA3/LILRB2、DU
SP22、KLHL33、HSPA6/FCGR3A、
chr21q.22領域)。

次に、この6つの遺伝子と先行
研究で高安病に関連している事
が判明している遺伝子について、
遺伝学的に解析したところ、こ
れらの遺伝子がnatural killer
細胞(NK細胞)の遺伝子発現調
節領域に最も強く集積すること
が判明しました。 これにより、
NK細胞が高安病の病態に重要で
あることが推定されました。さ
らに、今回発見した遺伝子のひ
とつLILRA3と、先行研究で高安
病との関連が判明したHLA-B52
遺伝子とが相互作用して免疫系
の制御の異常を引き起こし、高
安病の病態に関与する事も解明
しました。

高安病は患者数が少なく、疾患
原因が数多くあると推定される
希少複合性疾患ですが、今回の
研究では国内患者数の10%以上
の検体を遺伝学的に解析する事
で新規関連遺伝子と病態に重要
な細胞の候補を同定しました。
研究グループは「今後、NK細胞
と高安病の関連の詳細な研究を
進めるほか、さらなる関連遺伝
子の発見を目指して研究を進め
る予定」としています。

高安病の症状と治療についての

動画です。

 

 

 

 



 倦怠感から検体を取り違える。
















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2】 脳深部脳波を患者自らが制御して変える新技術














 大阪大学は12月18日、脳深部
の脳波を患者さん自らが制御し
て変える新しい技術を開発し、
パーキンソン病と、脳深部活動
との関係を明らかにしたと発表
しました。この研究は、同大の
栁澤琢史教授(高等共創研究院)
および貴島晴彦教授(大学院医
学系研究科脳神経外科学)らの
研究グループによるものです。
研究成果は米科学誌「eNeuro」
に公開されています。

脳深部の視床下核は、パーキン
ソン病の症状に深く関与してい
ることが知られています。実際、
同部位に外科的に電極を留置し
て電気刺激を行うと、パーキン
ソン病の症状が緩和します。そ
のメカニズムとして、視床下核
における異常な脳活動(β振動)
が関与していると考えられてき
ましたが、β振動だけを制御す
る方法がなく、詳細は不明でし
た。今回研究グループは、視床
下核の電気刺激を治療として受
けているパーキンソン病患者さ
んの脳波を電気刺激装置の電池
交換を受ける際に電極から計測
しました。更に、計測した視床
下核の脳波からβ振動の強さを
リアルタイムに計算し、その大
きさを円の大きさとして患者さ
んに提示することで、患者さん
は自らの意思で視床下核のβ振
動の大きさをコントロールでき
るようになりました。 実際に、
患者さんが10分間、円の大きさ
を変える訓練を行なったところ
視床下核のβ振動が有意に変化
することが示されました。この
成果は脳深部の脳波を意図的に
制御できることを示した初めて
ものだということです。

一方、β振動とパーキンソン病
の症状との関係を調べたところ、
有意な関係が見られませんでし
た。これまで、β振動がパーキ
ンソン病の症状の原因と考えら
れていましたがより症状と関連
するほかの脳活動があることが
示唆されたとしています。

近年、脳深部刺激装置が脳波を
自動解析し刺激を制御する技術
が開発されています。 今回の
研究成果は、このような技術と
組み合わせる事で、症状の原因
となる異常な脳活動にターゲッ
トを絞り、効率的に症状を緩和
する新しい治療法の開発につな
がる、と研究グループは述べて
います。

脳深部刺激法による治療の実際

の動画です。

 

 

 

 



 脳活動の成果にノーと言う。





 











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編集後記




 高安病に関連する新規遺伝子
を発見し、その病態メカニズム
を解明したと発表したのは偉大
な業績です。高安病(高安動脈
炎/大動脈炎症候群)は、主に
若年の女性に発症し、大動脈お
よびその主要分枝における動脈
の炎症を主体とする全身性血管
炎であることはわかっていても
高安病の原因は、遺伝的要因や
感染症などの環境的要因が推定
されていますが、原因は明らか
ではなかったそうですから高安
病関連の遺伝子がnatural kill
er細胞(NK細胞)の遺伝子発現
調節領域に最も強く集積する事
からNK細胞が、高安病の病態に
重要であることが推定されたの
と同時に、今回発見した遺伝子
のひとつLILRA3と、先行研究で
高安病との関連が判明したHLA-
B52 遺伝子とが、相互作用して
免疫系の制御の異常を引き起こ
すことまで解明したのは、血の
滲むような努力の結果であると
思われます。さらなる関連遺伝
子の発見を目指して研究を進め
て頂きたいものです。
 脳深部の脳波を、患者自らが
制御して変える新しい技術を開
発し、パーキンソン病と、脳深
部活動との関係を明らかにした
と発表したのは素晴らしい業績
です。脳深部の視床下核の部位
に外科的に電極を留置して電気
刺激を行うと、パーキンソン病
の症状が緩和するということで
すから、同部位のパーキンソン
病との関わりは深いものと推測
できます。視床下核の電気刺激
を治療として受けているパーキ
ンソン病患者さんの脳波を電気
刺激装置の電池交換を受ける際
に電極から計測したというのは、
画期的な手法だと思います。や
はり、誰もが気が付かないコロ
ンブスの卵だったと思われます。
更に、計測した視床下核の脳波
からβ振動の強さをリアルタイ
ムに計算し、その大きさを円の
大きさとして患者さんに提示す
ることで、患者さんは、自らの
意思で視床下核のβ振動の大き
さをコントロールできるように
なったというのも本当にすごい
の一言に尽きます。

 自らの意思で、医師の意見に
逆らった。笑














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