診療マル秘裏話  号外Vol.1767 令和2年4月4日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)職業性座位時間とがん罹患の関連を調べた結果
2)疾患関連酵素活性異常を超高感度検出の診断法















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 職業性座位時間とがん罹患の関連を調べた結果











 国立がん研究センターは3月
10日、職業性座位時間とがん罹
患との関連を調べた結果を発表
しました。これは、同センター
社会と健康研究センター予防研
究グループの多目的コホート研
究によるものです。研究成果は、
「Cancer Science」に掲載され
ています。近年、日常生活の中
で長時間座っていることが健康
に与える影響について関心が高
まっています。複数の研究をま
とめたメタアナリシスにおいて、
仕事の座位時間が長いと、普段
適度に運動をしていても、がん
のリスクが高くなることが報告
されています。しかし、座位時
間が長く、その中でも仕事中の
座位時間が占める割合が多いと
報告されている日本人において、
仕事中の座位時間とがん罹患リ
スクについては調べられていま
せんでした。

研究グループは、2000年と2003
年に国内10保健所管内在住者で、
がんや循環器疾患にかかってお
らず、アンケートに回答した50
~74歳の約3万3,000人について、
2013年まで追跡調査を行いまし
た。その結果に基づいて、職業
性座位時間とがん罹患との関連
を調べました。なお、対象保健
所は、岩手県二戸、秋田県横手、
長野県佐久、沖縄県中部、茨城
県水戸、新潟県長岡、高知県中
央東、長崎県上五島、沖縄県宮
古、大阪府吹田(呼称は2020年
現在)でした。

アンケート調査の結果を用いて、
仕事中の座位時間を1時間未満、
1~3時間未満(基準)、3~5時
間未満、5~7時間未満、7時間
以上の5つのグループに分け、
その後、平均約10年間の全ての
がん罹患との関連を男女別に調
べました。また、胃、食道、大
腸、結腸、直腸、肝臓、膵臓、
肺、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、
子宮体部における部位別の検討
も行いました。分析にあたって、
年齢、地域、肥満度、喫煙、飲
酒、余暇の身体活動、糖尿病の
有無などを統計学的に調整し、
これらの影響をできるだけ取り
除きました。その結果、男性で
は、統計学的に有意ではないも
のの、職業性座位時間が長いほ
ど、がん全体の罹患リスクが高
くなる傾向がみられました。部
位別では、「膵がん」の罹患リ
スクが高いという関連が確認さ
れました。 また、統計学的に
有意ではありませんが、1時間
未満を基準としたときに、職業
性座位時間が長いほど男性の「
結腸がん」のリスクが高い傾向
がみられました(傾向性p=0.06)。
一方、女性では、職業性座位時
間が長いほど、肺がんの罹患リ
スクが高いという関連が認めら
れました。

今回の研究結果から、職業性座
位時間が長いことは、男性の膵
がん、女性の肺がんリスクが高
いことと関連する可能性が示唆
されました。この理由として、
身体活動の低下によるインスリ
ン抵抗性の促進や慢性炎症など
が、がん全体の共通したリスク
と報告されており、特にインス
リン抵抗性と関連のある膵がん
でリスクが高かった可能性が考
えられます。また、女性の肺が
んについては、職場における肺
がんのリスク要因と報告されて
いる受動喫煙などの影響があっ
た可能性も考えられます。また、
日本人男性で結腸がんのリスク
が高くなる可能性が示されまし
た。欧米の研究で、職業性座位
時間が長いと、肥満を介して結
腸がんのリスクになることが報
告されており、今回の結果は、
欧米の研究ほどはっきりとした
関連はみられませんでしたが、
関連がある可能性を示唆してい
ます。

研究グループは、「今回の研究
では、職業性座位の継続時間や
中断時間など、座位行動の詳細
を把握できなかったこと、また、
職業性座位時間が長い女性の人
数が限られており、詳細な分析
ができなかったことを考慮しな
ければならない」と、述べてい
ます。

食物繊維の摂取で、死亡リスク

が二割減について解説している

動画です。

 

 

 

 



 商才の詳細を把握した。笑















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2】 疾患関連酵素活性異常を超高感度検出の診断法











 東京大学は3月12日、血液中
の酵素を「1分子」レベルで区
別して検出する新たな方法論を
提唱し、疾患と関わる酵素活性
異常を超高感度に検出する病態
診断法の可能性を示したと発表
しました。この研究は、同大大
学院薬学系研究科の坂本眞伍大
学院生、小松徹特任助教、浦野
泰照教授、同大大学院工学系研
究科の野地博行教授、理化学研
究所開拓研究本部渡邉分子生理
学研究室の渡邉力也主任研究員、
名古屋市立大学大学院薬学系研
究科の川口充康講師、中川秀彦
教授、国立がん研究センター研
究所の本田一文部門長らの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Science Advances」
に掲載されています。

生体内には、数千種類を超える
酵素が存在し、これらの中には
さまざまな疾患の発生と関連し
て活性異常が起こるものもあり
ます。血液中の特定の酵素活性
の異常を知ることは、疾患の有
無を判断する際の指標(バイオ
マーカー)として広く用いられ
ています。しかしながら、現在、
血液中の酵素を検出する方法論
では、その感度の不十分さから
血液中にごく微少量で存在する
酵素を検出することが困難であ
る場面がしばしば見られ、特に、
疾患の早期診断に関わる酵素活
性異常を見つけるためには、こ
のような酵素の活性検出法の高
感度化が求められています。今
回、研究グループは、酵素活性
を高感度に検出する「有機小分
子蛍光プローブ技術」と、1分
子レベルの高精度計測を可能と
する「マイクロチップ技術」と
いう異なる分野の技術を融合さ
せることで、生体サンプル中の
多数の酵素の活性を1分子レベ
ルで網羅的に検出する方法論を
世界に先駆けて確立しました。
これにより、これまでの方法論
では検出が困難であった血液中
のごく微少量の疾患関連酵素を
超高感度に検出することを可能
としました。

具体的には、肝臓障害と関わる
アルカリホスファターゼ(ALP )
をはじめ、さまざまな疾患の進
行に伴って血液中の酵素活性が
変化することが知られているリ
ン酸エステル加水分解酵素に着
目し、この活性を網羅的に1分
子検出する実験系を開発しまし
た。ALP は、由来組織に応じて
異なるサブタイプが血液中に放
出されますが、従来の酵素活性
検出による診断ではこれらを区
別して検出できませんでした。
特に、血液中で観察される代表
的なサブタイプの臓器非特異的
ALP(TNAP)、小腸型ALP(ALPI)
は、その配列相同性が50~60%
程度と高く、これを今回の手法
によって区別して1分子検出す
ることを第一の技術目標に設定
しました。3色の異なる波長を
持つ蛍光色素を合成し、ALP と
の反応性を示しながらも異なる
構造を持つ蛍光プローブ群を開
発し、これらのプローブを組み
合わせることで、サブタイプの
わずかな反応性の違いを見分け
て検出することに成功しました。
これらの酵素の1分子レベルの
検出を血液中で、世界で初めて
実現しました。さらなる解析の
結果、血液中に存在するこれら
の酵素の構造的特徴が、大腸菌
などによって人工的に作られた
酵素の構造的特徴とは大きく異
なることも明らかになりました。

また、研究グループは、この高
感度検出系を用いることで、従
来の解析では検出されないレベ
ルで血液中に存在するさまざま
なリン酸エステル加水分解酵素
の活性を発見し、これらのパタ
ーンの違いを多変量解析によっ
て分類する技術プラットフォー
ムを確立しました。これを用い
て糖尿病患者さんの血清中のリ
ン酸エステル加水分解酵素の網
羅的1分子解析を実施した所、
ALPIの活性が糖尿病患者血清に
おいて増大している様子が観察
されました。さらに、研究グル
ープは、より多様な酵素群の活
性を検出する蛍光プローブ群を
開発し、ENPP(ectonucleotide
pyrophosphatase/phosphodies
terase)と呼ばれる酵素群の活
性を1分子レベルで検出する方
法へと発展させました。膵臓が
ん患者さん由来の血漿サンプル
中からこれらの酵素を検出する
実験をおこなった所、ENPPのサ
ブタイプの1つであるENPP3 の
発現量が、がん患者さん由来の
血漿サンプルにおいて有意に向
上していることが見出されまし
た。これまでに同蛋白質の存在
が血液中で検出された報告はあ
りませんでした。研究グループ
は、同蛋白質について、今回の
研究によって初めて発見された
新規のバイオマーカー候補とし
て、さらなる検証と応用を目指
した研究を進めていく予定とし
ています。

病気に関わる酵素の機能異常に

ついて解説している動画です。

 

 

 



 蛍光プローブを携行した。笑















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編集後記


 国立がん研究センターが3月
10日、職業性座位時間とがん罹
患との関連を調べた結果を発表
したのは素晴らしい業績です。
これは、同センター社会と健康
研究センター予防研究グループ
の多目的コホート研究によるも
のということで、研究成果は、
「Cancer Science」に掲載され
ています。今回の研究結果から、
職業性座位時間が長いことは、
男性の膵がん、女性の肺がんリ
スクが高いことと関連する可能
性が示唆されたということです
から、私も職業性座位時間が長
いので膵がんのリスクについて
気を付けないといけないと意識
を新たにしました。
 東京大学が3月12日、血液中
の酵素を「1分子」レベルで区
別して検出する新たな方法論を
提唱し、疾患と関わる酵素活性
異常を超高感度に検出する病態
診断法の可能性を示したと発表
したのは素晴らしい業績です。
膵臓がん患者さん由来の血漿サ
ンプル中からこれらの酵素を検
出する実験をおこなった所、EN
PPのサブタイプの1つであるEN
PP3 の発現量が、がん患者さん
由来の血漿サンプルにおいて有
意に向上していることを見出し
た努力は、並大抵のものではな
いと感心しました。  今回の
研究によって初めて発見された
新規のバイオマーカー候補とし
て、さらなる検証と応用を目指
した研究を進めて頂きたいと切
に願う次第です。

 関心を寄せたことに感心した。
















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