診療マル秘裏話  号外Vol.1768 令和2年4月5日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)認知症が、がん患者の終末期のQOL を低下する
2)クラボウが新型コロナウイルスの検査キットを3月16日に発売















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 認知症が、がん患者の終末期のQOL を低下する











 慶應義塾大学は3月12日、訪
問看護師を対象としたアンケー
ト調査により、認知症ががん患
者さんの終末期のQuality of L
ife (以下、QOL )を低くする可
能性があると発表しました。こ
れは、同大大学院健康マネジメ
ント研究科の廣岡佳代特任講師、
看護医療学部の深堀浩樹教授ら
と、東京都医学総合研究所が共
同で行った研究によるものです。
研究成果は、日本老年医学会の
公式英文誌「Geriatrics & Ger
ontology International」オン
ライン版に掲載されています。
日本人の多くは、もし自分がが
んの終末期になった場合、「苦
痛がない」「望んだ場所で過ご
す」「人として大切にされる」
「負担にならない」などを大切
にしたいと考えているとされて
います。これらは「終末期のQO
L 」と呼ばれ、苦痛がなく、本
人の意向に沿った終末期ケアを
受けられるほど、終末期のQOL
が高くなるといわれています。
過去の研究では、自宅で死亡し
たがん患者さんは、病院で死亡
した場合と比較して、終末期の
QOL に対する遺族の満足度が高
くなることが報告されています。

がん患者さんの7~30%が認知症
を有すると報告されており、高
齢化により認知症を有する高齢
がん患者さんが増加しています。
しかし、高齢がん患者が認知症
を有する場合、認知症のない高
齢がん患者さんと比較して、が
んによる痛みの緩和は、十分に
行われていないことが報告され
ています。その理由として認知
症による認知機能障害が重度で
ある程、痛みなどの苦痛症状を
うまく言語表現できないことや、
医療者が認知症を有する高齢が
ん患者さんに対し、「認知症の
場合には痛みを感じない」「痛
みを訴えないことは、痛みがな
いことだ」といった誤解を持つ
ことが挙げられます。研究グル
ープは、終末期のQOL を評価す
るために広く用いられている「
終末期がん患者の看取りの質評
価尺度(望ましい死の達成:Go
od death inventory)」を用い
て、死亡したがん患者さん(50
8 人)に緩和ケアを提供してい
た訪問看護師にアンケート調査
を行い、認知症ががん患者さん
の終末期のQOL に与える影響を
検討しました。看取りの質評価
尺度は、前述した日本人が大切
にしている「苦痛がない」「望
んだ場所で過ごす」「人として
大切にされる」「負担にならな
い」などの項目で構成されてい
ます。

その結果、がん患者さんの156
人(30.7%)が認知症を有する
事が示されました。また、認知
症を有するがん患者さんは終末
期のQOL が低い傾向であること、
認知症を有するがん患者さんの
中では、家族介護者がいない場
合には終末期QOL が低い傾向に
なることが明らかになりました。
つまり、認知症によって、高齢
がん患者さん本人が意向を示し
にくくなり、本人の意向を代弁
してくれる家族もいない場合、
本人の望む死を達成できない可
能性が高いことが示されました。

今回の研究から、「人生会議」
(アドバンス・ケア・プランニ
ング)などを活用し、事前に本
人の意向を把握すること、また、
家族介護者がいない認知症がん
患者さんの権利を擁護するなど、
がん患者さん本人の意向に沿っ
た終末期ケア提供が必要である
ことが示されました。「認知症
の有無にかかわらず、質の高い
終末期ケアを提供できるよう、
認知症を有する高齢がん患者の
痛みなどの苦痛緩和、意向把握
などの終末期ケアの提供が必要
であり、今後、その支援に向け
たプログラム等の開発が求めら
れる」と、研究グループは述べ
ています。

がん緩和ケアについて解説して

いる動画です。

 

 

 



 意向把握のために、話を聞き
に行こう。        笑















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2】 クラボウが新型コロナウイルスの検査キットを3月16日に発売











 クラボウは3月12日、新型コ
ロナウイルスの検査キットを3
月16日に発売すると発表しまし
た。 イムノクロマト法を用い、
15分で感染の有無を目視で判定
できます。衛生研究所や臨床検
査会社などに、1日当たり1万
テスト分を供給する計画です。
イムノクロマト法による新型コ
ロナの迅速検査キットは国内初
とみられます。保険適用を視野
に入れています。

 検査キットはクラボウの中国
提携先が開発しました。これま
でに1000例以上の臨床データが
あり、同国では3月4日に標準診
断法のガイドラインに採用され
ました。10マイクロリットル
の血液をキットに滴下するだけ
で診断でき、PCR法と比較し
て時間、コストなどを削減でき
ます。血液検査のため、検査作
業者への2次感染のリスクも軽
減できます。

 キットは感染時に体内で生成
される特定の抗体を検出します。
PCR法で検出が難しいとされ
ている感染初期でも判定できま
す。PCR法は、検体中のウイ
ルス量の影響を受けやすいので
すが、同キットは血液中に抗体
が存在すれば判定可能というこ
とです。サンプル採取の方法や
部位による偽陰性も出にくいと
されています。

 感染の初期段階で生成される
抗体「IgM」用と感染後長期
間にわたり最も多く生成される
抗体「IgG」用の2種類を用
意し、正診率はそれぞれ95.72%、
94.24%です。陰性判定率につい
ては、ともに100%です。併用す
ることで検査精度は高まります。
2種ともに価格は税別で2万5
000円です。

 同社環境メカトロニクス事業
部バイオメディカル部は、イム
ノクロマト法などを用いた食品
中の成分や食中毒菌などのDN
Aを判定する試薬キットを開発・
販売しています。今回、新型コ
ロナの感染拡大を受けて、中国
の提携先が開発したキットの輸
入、販売に踏み切りました。

新たな検査方法について解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 藩邸で、仇討の勝負を判定す
る。           笑















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編集後記


 慶應義塾大学が3月12日、訪
問看護師を対象としたアンケー
ト調査により、認知症ががん患
者さんの終末期のQuality of L
ife (以下、QOL )を低くする可
能性があると発表したのは素晴
らしい業績です。認知症によっ
て、高齢がん患者さん本人が意
向を示しにくくなり、本人の意
向を代弁してくれる家族もいな
い場合、本人の望む死を達成で
きない可能性が高いことが示さ
れたと考えられます。 認知症
があっても、本人の意向を汲む
努力を忘れてはならないと強く
認識を新たにしました。
 クラボウが3月12日、新型コ
ロナウイルスの検査キットを3
月16日に発売すると発表したの
は、素晴らしいことです。ただ
中国で、素晴らしい実績があっ
ても、日本でも同じ実績があが
るとは、限らない気がしました。
ウイルスというのは、どんどん
変異を繰り返すため、土地が変
わると、診断方法も変えなけれ
ばならないと推測されるからで
す。同じキットを開発するのに
日本のメーカーだと一年以上か
かるとされていることを考える
と多少性能は落ちても中国から
輸入して、緊急事態を乗り切る
のが先だと判断したものと思わ
れます。偽陰性がないのは優れ
たキットであることを証明して
います。

 八俵の米俵を賞品にすると、
発表した。        笑













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