診療マル秘裏話  号外Vol.2013 令和3年1月16日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)無症状段階の膵ガンは手術可能症例多いと発表
2)コレステロール高値が,尿酸排泄低下誘発する機序発見













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 無症状段階の膵ガンは手術可能症例多いと発表












 東北大学は12月24日、糖尿病
の新規発症や増悪を契機に無症
状の段階で発見された膵ガンで
は比較的早期の膵ガンや手術可
能な症例が多く、症状が出てか
ら診断された膵ガンに比べて生
存期間が2倍以上長いことを明
らかにしたと発表しました。こ
の研究は、同大大学院医学系研
究科消化器病態学分野の滝川哲
也特任助手、正宗淳教授らの研
究グループによるものです。研
究成果は、「Tohoku Journal o
f Experimental Medicine 誌」
電子版に掲載されています。

 膵ガンは、早期発見が難しく、
5年生存率が10%程度とされる
難治ガンです。多くの症例は、
腹痛や黄疸といった症状が出て
から診断されますが、その時点
ではすでに肝臓などに転移をし
ていることが多く、手術で切除
可能な患者さんは2割程度に過
ぎません。

 一方、いわゆる早期の膵ガン
の治療後経過は比較的良好であ
り、その4分の3が検診や他疾患
の検査時など、無症状の時点で
診断されます。したがって、症
状が出ていない段階で膵ガンを
早期診断することが、治療成績
向上のためには大変重要です。
しかし、一般住民を対象とした
膵ガン検診は現時点で推奨され
ておらず、早期発見には高いハ
ードルがあります。

 糖尿病は膵ガンの危険因子で
あり、糖尿病患者さんにおける
膵ガンリスクは一般人口の約2
倍とされています。そのリスク
は、糖尿病発症から間もないほ
ど高いことから、膵ガンが原因
となり血糖のコントロールが悪
化する可能性が指摘されていま
す。実際、糖尿病の新規発症や
悪化を契機に膵ガンが発見され
ることがあります。しかし、糖
尿病を契機に発見された膵ガン
の特徴や治療後の経過は明らか
ではありませんでした。

 今回、研究グループは2010~
2018年の9年間に東北大学病院
で診断された膵ガン489 例につ
いて、その診断契機と臨床での
特徴や治療後経過との関連を解
析しました。489例のうち、318
例は腹痛や黄疸などの症状を契
機に、118 例は無症状時に検診
や他疾患の検査を契機に、53例
は無症状時に糖尿病の新規発症
や血糖コントロールの悪化を契
機に膵ガンと診断されました。

 症状を契機に診断された膵ガ
ンでは、ステージ0やステージ1
など比較的早期の膵ガンは8%
に、手術可能な症例は27%であ
ったのに対し、糖尿病を契機に
診断された膵ガンでは40%が比
較的早期の膵ガンであり、60%
の症例が手術可能でした。検診
や他疾患の検査で偶然発見され
た膵ガンにおいては35%の症例
が比較的早期の膵ガンであり、
68%の症例が手術可能でした。

 症状を契機に診断された膵ガ
ンでは、生存期間の中央値が34
3 日(11か月)であったのに対
し、糖尿病を契機に発見された
膵ガンでは771日(26か月)と2
倍以上長く、検診や他疾患の検
査中に診断された膵ガンでの86
9日(29か月) とほぼ同等でし
た。

 今回の研究成果により、糖尿
病に注目し早期に診断し治療す
ることで、膵ガンの治療成績向
上につながることが期待されま
す。

 研究グループでは、どのよう
な糖尿病患者を対象に膵ガンの
精密検査を行うべきか、すでに
多施設での検討を進めていると
しています。

膵臓ガンのリスクについて解説

している動画です。

 

 

 

 


 
 ケーキが発売されたのを契機
に、景気が良くなる。   笑
















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2】 コレステロール高値が,尿酸排泄低下誘発する機序発見













 奈良県立医科大学は12月24日、
コレステロール高値が尿酸排泄
低下を誘発する機序について発
見したと発表しました。この研
究は、同大・医学部・未来基礎
医学の森英一朗准教授、米ヒュ
ーストン大学の梅渓通久Assist
ant Professo、理化学研究所(
理研)生命機能科学研究センタ
ー(BDR)・ ヒト器官形成研究
チームの髙里実チームリーダー
の共同研究グループによるもの
です。研究成果は、「The FASE
o Journal」に掲載されていま
す。

 生体内で産生される尿酸は、
その3分の2が腎臓から尿中へ排
泄されます。過去の研究により、
肥満患者さんでは尿酸排泄率が
低下することや肥満モデルマウ
スでは尿酸輸送を行うトランス
ポーターの発現量が変化してい
ることが分かっており、メタボ
リックシンドロームと尿酸排泄
の関連が示唆されていました。
しかし、その詳細な機序につい
ては明らかになっていませんで
した。

 今回研究グループは、高コレ
ステロール血症患者さんで増加
している,27-ヒドロキシコレス
テロールに着目し、尿中からの
尿酸再吸収を行うトランスポー
ターURAT1 への影響を検討しま
した。

 URAT1 のプロモーター領域を
発現させた細胞に,27-ヒドロキ
シコレステロールを負荷するこ
とで、URAT1 のプロモーター活
性が上昇しました。また、エス
トロゲン拮抗薬・エストロゲン
応答配列変異体を使用すること
で、この上昇はエストロゲン受
容体を介した反応であることを
明らかにしました。 27-ヒドロ
キシコレステロールの血中濃度
が上昇しているCyp7b1欠損マウ
スでは、腎臓中のURAT1 蛋白質
が増加していることが分かりま
した。

 さらに、ヒトiPS 細胞から作
製した腎臓オルガノイドを用い
た試験により,27-ヒドロキシコ
レステロールがURAT1 の遺伝子
発現を増加させることも分かり
ました。以上の結果より、高コ
レステロール血症など血中27-
ヒドロキシコレステロールの増
加を伴う疾患では、増加した27
-ヒドロキシコレステロールが
腎臓のURAT1 発現を上昇させ、
尿中からの尿酸再吸収を促進し、
血中尿酸の増加を誘発する可能
性が示唆されました。これらの
知見は、コレステロール高値と
高尿酸血症の関連を解明する一
助となることが期待されます。

脂質異常症について解説してい

る動画です。

 

 

 

 



 高知でコレステロール高値と
診断された。       笑
















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編集後記




 東北大学が12月24日、糖尿病
の新規発症や増悪を契機に無症
状の段階で発見された膵ガンで
は比較的早期の膵ガンや手術可
能な症例が多く、症状が出てか
ら診断された膵ガンに比べて生
存期間が2倍以上長いことを明
らかにしたと発表したのは、素
晴らしい業績です。ガン細胞に
とって糖尿病は、非常に都合の
良い病態です。血管の中には、
ブドウ糖があふれているのに、
インシュリンの量や、感受性の
低下を認めるために、ブドウ糖
を利用することができないから
です。ガン細胞は、新生血管と
いう血管を作って、高い血糖を
利用することが可能なのです。
 奈良県立医科大学が12月24日、
コレステロール高値が尿酸排泄
低下を誘発する機序について発
見したと発表したのは、偉大な
業績です。コレステロール高値
が尿酸排泄を誘発するとは思い
もしませんでした。しかしこれ
からは、コレステロール高値の
人を見かけたら、尿酸値も同時
にチェックしたいと思います。
高コレステロール血症など血中
27- ヒドロキシコレステロール
の増加を伴う疾患では、増加し
た27- ヒドロキシコレステロー
ルが腎臓のURAT1 発現を上昇さ
せ、尿中からの尿酸再吸収を促
進し、血中尿酸の増加を誘発す
る可能性が示唆されたというこ
とですから、巧みな高尿酸血症
の機構と言えるでしょう。

 医大の設立は、偉大な業績で
す。           笑













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