診療マル秘裏話  号外Vol.2017 令和3年1月21日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)リンパ腫遺伝子異常を高感度に検出、同定に成功
2)武漢熱重症化リスク判定補助検査薬,製造販売承認













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 リンパ腫遺伝子異常を高感度に検出、同定に成功









 京都大学は12月25日、血管内
大細胞型B細胞リンパ腫(IVLB
CL)患者さんの血液中に存在す
るリンパ腫細胞由来のゲノムに
着目して、同病型の詳細な遺伝
子解析を行い、疾患を特徴付け
る遺伝子異常を高感度に検出、
同定することに成功したと発表
しました。この研究は、同大医
学研究科の小川誠司教授、吉田
健一助教(研究当時、現・Well
come Sanger Institute 博士研
究員)、藤田医科大学の冨田章
裕教授、名古屋大学の島田和之
講師、清井仁教授らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「Blood」 のオンライン版
に掲載されています。

 IVLBCLは、一般的な悪性リン
パ腫で認められるリンパ節腫大
を形成せず、発熱や全身のだる
さなど非特異的な症状により発
症するため、血液専門医であっ
てもしばしば診断が困難とされ
る悪性リンパ腫の一病型です。
診断の遅れによる病気の進行が、
患者さんの予後を不良とするた
め、早期診断を助けるための新
たな病気の検出方法の確立が望
まれてきました。また、これま
で病気の原因となる遺伝子異常
が十分に明らかにされておらず、
病気の原因を直接標的にする新
たな治療方法を考える上でも、
病気をもたらす遺伝子異常の全
体を明らかにする網羅的遺伝子
解析が望まれてきました。

 今回、研究グループは、IVLB
CL患者さんの血液(血漿)中に、
末梢血無細胞遊離DNA(cfDNA)
が通常よりも有意に高濃度に存
在し、その量は患者さんにおけ
る病気の状態を反映することを
確認しました。18人のIVLBCL患
者さんから採血を行い、血漿成
分1mL から採取されるcfDNA は
検討された8割以上の患者さん
の血漿で100ng/mL以上の濃度で
した。これは健康な人(数 ng/
mL) に比べて高く,また一般的
な悪性リンパ腫(DLBCL) の患
者さんと比べても高い値でした。
また、抗ガン剤治療を実施した
IVLBCL患者さんから、診療の経
過とともにcfDNA を採取して、
その濃度を測定した所、病状に合
わせてcfDNA 濃度が変化すること
を確認しました。この濃度の変動
は、悪性リンパ腫の病状を反映す
る指標の1つとして知られる血清
LDH 値と同様の変化を示すことを
確認しました。

 次に、骨髄への病気の広がりが
確認されている患者さんの骨髄検
体から得られたゲノムDNA と、同
じ患者さんから得られたcfDNA を
用いて、網羅的に遺伝子変異解析
(全エクソン解析)を行った所、
IVLBCLにおいて骨髄検体よりもcf
DNA に高い割合で変異が同定され
たことから、cfDNA にはIVLBCLの
リンパ腫細胞から流出したDNA が
効率よく濃縮して含まれているこ
とが確認され、またそれによりcf
DNA を用いて多くの遺伝子変異を
検出することが可能になりました。

 cfDNA を用いた解析により検出
された遺伝子異常の中には、「B
細胞受容体/NFκB経路」に関わる
遺伝子(CD79B、MYD88など)、「
免疫回避」に関わる遺伝子(PD-L
1(CD274)、PD-L2(PDCD1LG2)
など)、「ヒストン修飾やクロマ
チン構造」に関わる遺伝子(SETD
1B、KMT2Dなど)や「細胞周期」
にかかわる遺伝子(CDKN2A、TP53
など)などが含まれていました。
また、その他にも染色体のコピー
数異常や構造異常が多数検出され
ました。

ガン再発を予知する検査について

解説している動画です。

 

 

 

 



 以上のような構造異常が検出さ
れた。           笑














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2】 武漢熱重症化リスク判定補助検査薬,製造販売承認















 シスメックスは新型コロナウ
イルス感染症の重症化リスクの
判定を補助する検査薬の製造販
売承認を取得しました。国立国
際医療研究センターとの共同研
究を通じて見つけた「インター
フェロン(IFN)ーλ3」と
いう分子の血液中の濃度を測定
することで重症化を予測できま
す。死亡率を下げられる可能性
があるほか、限られた医療資源
の有効活用にも役立ちます。検
査薬は来年1月に発売する予定
です。

 シスメックスが医療機関など
に販売している全自動免疫測定
装置を用いて血清中のIFNー
λ3を測定します。IFNーλ
3はウイルスに対抗するために
細胞が産生する分子の一つです。
共同研究では重症化の症状が出
る数日前に血液中の濃度が急激
に上昇することを確認しました。

重症化予測マーカーについて、

解説している動画です。

 

 

 



 血清療法の医療チームを結成
した。          笑














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編集後記




 京都大学が12月25日、血管内
大細胞型B細胞リンパ腫(IVLB
CL)患者さんの血液中に存在す
るリンパ腫細胞由来のゲノムに
着目して、同病型の詳細な遺伝
子解析を行い、疾患を特徴付け
る遺伝子異常を高感度に検出、
同定することに成功したと発表
したのは素晴らしい業績です。
IVLBCLは、一般的な悪性リンパ
腫で認められるリンパ節腫大を
形成せず、発熱や全身のだるさ
など非特異的な症状により発症
するため、血液専門医であって
もしばしば診断が困難とされる
悪性リンパ腫の一病型というこ
とですから、特徴付ける遺伝子
異常を検出して、早期発見に役
だてましょうということだと思
います。
 シスメックスが新型コロナウ
イルス感染症の重症化リスクの
判定を補助する検査薬の製造販
売承認を取得したのは、喜ばし
いことです。重傷化リスクが分
かりさえすれば、軽症者でリス
クが小さい人は、自宅あるいは
ホテル待機で対応し、重症化リ
スクが高い人のみ入院加療する
ことができるようになります。
これが限られた医療資源の有効
活用ということに繋がると考え
られます。血清中のIFNーλ
3の他にも重症化リスクの指標
となる物質は、数種類あったと
記憶しています。ただ、測定の
容易さなどが根拠となり、血清
中のIFNーλ3に決まったの
ではないかと私は推測していま
す。

 用意周到に準備することは、
容易ではない。      笑

















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