診療マル秘裏話  号外Vol.2034 令和3年2月9日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)術後療法としての抗PD-L1抗体単剤のctDNA評価
2)水疱性角膜症を,iPS細胞で治療する計画が進む













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 術後療法としての抗PD-L1抗体単剤のctDNA評価











 2020年12月9日~12日に開催
された欧州臨床腫瘍学会(ESMO
Immuno Oncology)にて外科切
除後の再発リスクの高い筋層浸
潤尿路上皮ガン患者さんに対す
るアジュバント(術後)療法と
しての抗PD-L1 抗体であるテセ
ントリク(一般名:アテゾリズ
マブ、以下テセントリク)単剤
療法の有効性、安全性を比較検
証した第3相のIMvigor010 試験
(NCT02450331)のctDNA(circ
ulating tumor DNA= 血液循環
腫瘍DNA) による探索的解析の
結果が公表されました。

IMvigor010試験とは、外科切除
後の再発リスクの高い筋層浸潤
尿路上皮ガン患者さんに対する
アジュバント(術後)療法とし
てテセントリク単剤療法を投与
する群、または経過観察を実施
する群に無作為に振り分け、主
要評価項目として無病生存期間
(DFS),副次評価項目として全
生存期間(OS)などを比較検証
したオープンラベルランダム化
多施設共同の第3相試験です。
なお、581 人の患者さんに対し
てctDN A評価が実施されて、そ
の結果は214人の患者さんがctD
NA陽性、367人の患者さんがctD
NA陰性群でした。

本試験が開始された背景として、
筋層浸潤尿路上皮ガンの治療は
再発、転移リスクを減少させる
ために早期介入が重要です。腫
瘍の成長、死にかけている細胞
の新しい細胞への置き換わり時
に血液に放出される腫瘍DNA で
あるctDNA はアジュバント(術
後)療法から治療恩恵を受ける
患者さんとそうでない患者さん
を選別できる可能性が示唆され
ています。以上の背景より、IM
vigor010試験の探索的解析とし
てctDNA 評価が実施されました。

本試験の結果、ctDNA陽性群(N
=214人) における主要評価項
目である無病生存期間(DFS)
は下記の通りです。テセントリ
ク単剤群5.9 ヶ月に対して経過
観察群4.4ヶ月,テセントリク単
剤群でガンの再発または死亡(
DFS)のリスクを42%(HR:0.5
8、95%信頼区間:0.43-0.79、
p=0.0005) 減少しました。一
方、ctDNA 陰性群(N=367人)
ではテセントリク単剤群でガン
の再発または死亡(DFS) のリ
スクを14%(HR:1.14、95%信
頼区間:0.81-1.62、p=0.45)
増加しました。(参照元:Roch
e Newsroom)

副次評価項目である全生存期間
(OS)中央値はテセントリク単
剤群25.8ヶ月(95%信頼区間:
20.5ヶ月-未到達) に対して経
過観察群15.8ヶ月(95%信頼区
間:10.5-19.7ヶ月),テセント
リク単剤群で死亡(OS)のリス
クを41%(HR:0.59、95%信頼
区間:0.41-0.86、p=0.0059)
減少しました。一方、ctDNA 陰
性群(N=367人)ではテセント
リク単剤群で死亡(OS)のリス
クを31%(HR:1.31、95%信頼
区間:0.77-2.23、p=0.32)増
加しました。

以上のIMvigor010 試験のctDNA
による探索的解析の結果より、
ロシュ社のChief Medical Offi
cer and Head of Global Produ
ct DevelopmentであるLevi Gar
raway氏は,「膀胱ガンは複雑な
バイオロジーを有しており、治
療困難なガンの1つです。しか
しながら、ctDNA をはじめ有効
的なバイオマーカーを確立する
ことで効果的な治療方法を発見
することができるでしょう」と
結論を述べています。

免疫チェックポイント阻害剤に

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 新治療法確立の確率を計算す
る。           笑















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2】 水疱性角膜症を,iPS細胞で治療する計画が進む















 失明する恐れがある病気「水
疱性角膜症」をiPS細胞(人
工多能性幹細胞)を使って治療
する計画が、慶応大などのチー
ムによって進められていること
が分かりました。国内では毎年
約1万人が発症し、根本的に治
すには角膜移植しかない病気で
す。チームは年内の臨床研究開
始を目指しています。

 水疱性角膜症は、目の角膜に
ある「内皮細胞」が減り、角膜
が濁る病気です。日本人では白
内障や緑内障の手術が原因にな
る例が多いとされています。角
膜移植の原因疾患の半数を占め、
角膜の提供数が不足しているた
め移植まで数年待つケースもあ
ります。

 計画では、京都大から提供を
受けた他人のiPS細胞を内皮
細胞と同じ機能を持つ細胞に変
化させ、重度の患者さん数人の
角膜内側に約80万個を注入し
ます。細胞は3時間で定着し、
数か月で濁りが取れ、視力の回
復が見込まれるということです。
治療後は免疫反応を抑える目薬
が必要になります。臨床研究で
は1年間様子を見て安全性や有
効性を検証します。

 細胞は凍結して2か月以上保
存できるため、治療が確立すれ
ば眼科の診療所でも実施できる
ということです。角膜移植が不
要になり、角膜不足を補える利
点もあります。チームの榛村重
人・慶大准教授は「世界での患
者は約120万人に上り、治療
の需要は高い」と説明していま
す。

 目の病気に対するiPS細胞
を使った治療は、ほかに網膜色
素変性症など三つの病気で行わ
れています。水疱性角膜症につ
いては、提供角膜の細胞を大量
に増やし注入する治療も研究中
です。

 角膜の病気に詳しい金沢大付
属病院の小林顕・臨床准教授の
話「角膜疾患治療は日本が世界
の先頭を走っており、世界の治
療を変える可能性がある」

このニュースのニュース動画で

す。

 

 

 

 



 動物の内、半数が反芻動物だ
った。          笑















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編集後記




 2020年12月9日~12日に開催
された欧州臨床腫瘍学会(ESMO
Immuno Oncology)にて外科切
除後の再発リスクの高い筋層浸
潤尿路上皮ガン患者さんに対す
るアジュバント(術後)療法と
しての抗PD-L1 抗体であるテセ
ントリク(一般名:アテゾリズ
マブ、以下テセントリク)単剤
療法の有効性、安全性を比較検
証した第3相のIMvigor010 試験
(NCT02450331)のctDNA(circ
ulating tumor DNA= 血液循環
腫瘍DNA) による探索的解析の
結果が公表されたのは素晴らし
いプレゼンテーションだと思い
ます。ctDNA による評価を行っ
た所が、特に評価されるべきで
はないかと考えます。
 失明する恐れがある病気「水
疱性角膜症」をiPS細胞(人
工多能性幹細胞)を使って治療
する計画が、慶応大などのチー
ムによって進められていること
が分かったのは、喜ばしいこと
です。角膜移植の原因疾患の半
数を占め、角膜の提供数が不足
しているため移植まで数年待つ
ケースもあるということですか
ら、移植の件数を減らすことで
角膜不足を補える利点も大いに
あると思います。そのため将来
有望な治療の一つであると考え
ます。しかし、治療後は免疫反
応を抑える目薬が必要になると
いうことがデメリットと考えら
れるので、自分の唇や口腔内の
細胞をシート状にして移植する
ことを考えた方が良いのではと
思いました。 それが可能かど
うかは、専門ではないので分か
りません。

 異色の移植を実施する。 笑













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