診療マル秘裏話  号外Vol.2036 令和3年2月12日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)乳ガン細胞増殖と転移促進する腸管毒素原性菌
2)特発性小脳失調症の免疫療法の医師主導の治験













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 乳ガン細胞増殖と転移促進する腸管毒素原性菌











 米国ジョーンズ・ホプキンス大学は1
月6日、悪玉菌の1つで、毒素を
分泌する腸管毒素原性バクテロ
イデスフラジリス菌(Enteroto
xigenic Bacteroides fragilis、
ETBF菌)をマウスの腸または乳
管に移入すると、乳ガン細胞の
増殖と転移が促進されることを
発見したと発表しました。これ
は同大医学部のDipali Sharma
教授、Sheetal Paridaフェロー
らの研究グループによるもので
す。研究成果は、「Cancer Dis
covery」に掲載されています。

 乳ガンを発症する背景として、
年齢や遺伝的変化、放射線療法、
家族歴といった複数の確立され
た要因が特定されているにもか
かわらず、いずれにも該当しな
い多くの女性が乳ガンを発症し
ています。また、これまで微生
物は消化管、鼻腔、皮膚などに
存在し、乳房組織は無菌である
と考えられてきましたが、最近
乳房にも微生物叢が存在するこ
とが明らかとなりました。しか
しながら、乳房の微生物叢が生
物学的にどのような影響をもた
らすのかは不明でした。

 研究グループはまず、公開さ
れている臨床研究データから、
良性および悪性の乳房組織と、
乳ガン経験者および健常者の乳
頭分泌液の微生物組成データに
ついてメタ解析をしました。そ
の結果、すべての乳房組織サン
プルおよび乳ガン経験者の乳頭
分泌液から、バクテロイデスフ
ラジリス菌(B. fragilis )が
検出されました。

 続いてマウスを用いて検討し
ました。大腸炎や大腸ガンの悪
性化にかかわるETBF菌をマウス
に経口投与し観察しました。す
ると、ETBF菌がマウスの腸に定
着し、その後、3週間以内にマ
ウスの乳房で前ガン状態である
乳管の過形成が観察されました。
また、マウスの乳頭に直接ETBF
菌を注射する実験を行ったとこ
ろ、2~3週間以内に過形成のよ
うな症状が現れました。ETBF菌
の毒素にさらされた乳房細胞は、
さらされていない(非毒素性B.
fragilisを移入された)乳房細
胞に比べ急速な腫瘍増殖を示し、
より悪性度が強い腫瘍を形成し
たことが分かりました。

 さらに、さまざまなマウスモ
デルで解析した結果、72時間毒
素に曝された乳房細胞は、「毒
素の記憶」を保持し、ガンの発
生、転移性病変の形成が可能に
なることが分かりました。加え
て、Notch1-β カテニンのシグ
ナル伝達経路が、EBFT菌の毒素
による乳房組織におけるガン化
の促進に関与していることも明
らかになりました。

 今回の研究から、乳ガンの発
生にETBF菌が関与する可能性が
示されました。また、腸内細菌
叢の乱れ、または発ガン機能を
備えた毒素原生微生物が腸に生
息している場合、新たな乳ガン
発症のリスク因子となる可能性
も示唆されました。同定された
ETBF菌はその1つに過ぎず、他
にもガン化に関わる菌がある可
能性が考えられるということで
す。研究グループは今後ETBF菌
がどのように体内を移動するか、
ETBF菌だけがヒトの乳房細胞の
形質転換を直接誘発するのか、
他の微生物叢も乳房に対して発
ガン性を有するかどうかなど、
詳しいメカニズムを明らかにし
ていく予定だとしています。

 研究グループは、腸内細菌の
スクリーニングについても言及
しました。「今後新たに発ガン
リスクと関連がある腸内細菌が
見つかり、乳ガン発症リスクが
高い女性の腸内細菌を検査した
場合、特定の腸内細菌を保持す
る割合が高い値を示すかもしれ
ない。将来的には、検便と同じ
くらい検査が簡単になる可能性
もあり、腸内細菌のスクリーニ
ングが乳ガンの発見に有用とな
るかもしれない。一方で、健康
的な食事や運動、BMI を正常値
に維持するなど、良い腸内環境
を保つことも大切だ」と、述べ
ています。

転移・再発乳ガンの治療につい

て解説している動画です。

 

 

 

 



 検査が簡単なことに感嘆した。
















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2】 特発性小脳失調症の免疫療法の医師主導の治験















 岐阜大学医学部付属病院脳神
経内科の下畑享良科長らの研究
グループは、指定難病「脊髄(
せきずい)小脳変性症」の一つ
である「特発性小脳失調症(ID
CA)」に対する免疫療法の効果
や安全性を確認するため、医師
主導の治験を始めました。

 IDCAは神経の病気で、小脳が
萎縮して働きが悪くなり、体の
ふらつきやめまい、しゃべりに
くさなどの症状が出ます。重症
化すると寝たきりになることも
あります。国内に約6千人の患
者さんがいるとみられています。
原因は分からず、治療法も確立
されていないということです。

 下畑科長らは2017年から研究
をはじめ、IDCA患者さんの血液
中から、健常者には認められな
い小脳にダメージを与えるよう
な異常な免疫反応(抗体)が出
現していることが分かってきま
した。患者さんの3人に1人から
少なくとも3種類の小脳に対す
る抗体が見つかったということ
です。

 今回の試験では、IDCA患者さ
んの抗体の有無を調べます。血
液中に抗体を持っている患者さ
んを対象に、膠原(こうげん)
病などの治療に使われている免
疫抑制剤「メチルプレドニゾロ
ンコハク酸エステルナトリウム」
を点滴し、症状の改善などの効
果と副作用などの安全性につい
て調べます。患者さんには1日1
グラム点滴し、3日間続ける免
疫療法を2回に分けて実施しま
す。

 臨床試験は長野県の信州大学
医学部付属病院や名古屋大学脳
神経内科、国立精神・神経医療
研究センターと共同で取り組む、
岐阜大病院では今月から患者さ
んの受け入れを進めており、30
歳以上の患者さん12人を対象と
します。下畑科長は「治験で改
善効果が実証されれば、速やか
に治療へ移ることができる」と
話しています。

脊髄小脳変性症について解説し

ている動画です。

 

 

 

 



 十勝することを実証した。笑














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編集後記




 米国ジョーンズ・ホプキンス大学が1
月6日、悪玉菌の1つで、毒素を
分泌する腸管毒素原性バクテロ
イデスフラジリス菌(Enteroto
xigenic Bacteroides fragilis、
ETBF菌)をマウスの腸または乳
管に移入すると、乳ガン細胞の
増殖と転移が促進されることを
発見したと発表したのは、偉大
な業績です。 今回の研究から、
乳ガンの発生にETBF菌が関与す
る可能性が示され、腸内細菌叢
の乱れ、または発ガン機能を備
えた毒素原生微生物が腸に生息
している場合、新たな乳ガン発
症のリスク因子となる可能性も
示唆されたということです。腸
内細菌叢および乳房の微生物叢
の重要性が改めて浮き彫りにな
った実験だったと思います。
 岐阜大学医学部付属病院脳神
経内科の下畑享良科長らの研究
グループが、指定難病「脊髄(
せきずい)小脳変性症」の一つ
である「特発性小脳失調症(ID
CA)」に対する免疫療法の効果
や安全性を確認するため、医師
主導の治験を始めたのは、素晴
らしい企画です。今回の試験で
は、血液中に抗体を持っている
患者さんを対象に、「メチルプ
レドニゾロンコハク酸エステル
ナトリウム」を点滴し、症状の
改善などの効果と副作用などの
安全性について調べるというこ
とですが、副腎皮質ステロイド
ホルモンの朝の分泌ピークにつ
いての配慮は、あるのでしょう
か?配慮がなければ結果に重大
な影響を及ぼすものと考えられ
ます。

 師弟で席を指定する。  笑











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