診療マル秘裏話  号外Vol.2037 令和3年2月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)抗ガン剤耐性ガン細胞を選択的に傷害する薬剤
2)iPS細胞由来腸管上皮細胞で,ノロウイルスの増殖成功












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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 








 
1】 抗ガン剤耐性ガン細胞を選択的に傷害する薬剤











 東京工科大学は1月20日、咳
止め薬(鎮咳剤)として承認さ
れているクロペラスチン塩酸塩
が、抗ガン剤のシスプラチンに
耐性を獲得したガン細胞を選択
的かつ強力に傷害する活性を示
すことを発見したと発表しまし
た。これは、同大大学院バイオ
ニクス専攻の今村亨教授、産業
技術総合研究所の岡田知子研究
員らの研究グループによるもの
です。研究成果は、「Scientif
ic Reports」オンライン版に掲
載されています。

 シスプラチンなどの抗ガン剤
は、細胞の内部に入って遺伝子
の複製を阻害したり酸化ストレ
スを与えたりすることでガン細
胞を傷害しますが、これを使い
続けると、抗ガン剤耐性を獲得
します。これはガン治療に困難
をもたらすため臨床現場で大き
な問題となっています。この問
題を克服するため多くの研究が
行われてきましたが、「耐性を
上回る強い抗ガン剤を開発する」
ことに主眼が置かれていました。

 今回研究グループは、従来と
は異なるアプローチとして、抗
ガン剤が効くガン細胞よりも、
「抗ガン耐性」のガン細胞を選
択的に強く傷害する薬剤を探す
ことを目的に、東京大学創薬機
構の支援を受け、日本国内で承
認されている医薬品のほぼ全て
を対象としてスクリーニングを
行いました。

 その結果、狙った活性を持つ
承認医薬品として、クロペラス
チンという咳止め薬を発見しま
した。この薬品は、ヒスタミン
H1受容体の活性を阻害する働き
を有しており、ヒスタミンH1受
容体の阻害剤として知られる別
の2種の薬剤も、同様に抗ガン
剤耐性ガン細胞を傷害すること
を見出しました。また、抗ガン
剤耐性ガン細胞において高発現
するfibroblast growth factor
13(FGF13)遺伝子が耐性の責
任分子であることを見出し、そ
の知見に基づき、研究グループ
はガンの治療方法の策定につい
て特許を取得しています。

 今回の研究結果は、ガン治療
に新たな光をもたらす大きな意
義を持つと考えられます。クロ
ペラスチンは、これまでも肺ガ
ン患者の治療の際に咳止めの目
的として併用されてきました。
今回同医薬品の新たな活性が発
見されたことにより、今後は肺
ガン以外の抗ガン剤治療におい
ても、治療成績の飛躍的向上に
つながることが期待されます。

 また、今回の研究は「既存薬
のリポジショニング」という世
界の医薬品研究開発の最新の潮
流に沿うものです。「ガン細胞
が有する未知の生理機構の解明
や、FGF13 による抗ガン剤耐性
機構の解明、さらには新たなガ
ン治療薬の創薬シーズにつなが
ることも期待される」と研究グ
ループは述べています。

ドラックリポジショニングにつ

いて解説している動画です。

 

 

 

 



 抗ガン剤耐性機構の講義を聴
こう。          笑














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2】 iPS細胞由来腸管上皮細胞で,ノロウイルスの増殖成功















 富士フイルムは1月20日、創
薬支援用細胞で自社製品のヒト
人工多能性幹細胞(iPS細胞)
由来腸管上皮細胞「F-hiS
IEC(エフ・ハイシーク)」
を用い、ヒトノロウイルスを増
殖させることに成功したと発表
しました。同ウイルスの医薬品
候補に対する有効性検証の応用
につながる成果で、製薬会社を
はじめ幅広い顧客への提案を強
化しています。治療薬やワクチ
ンの研究開発を支援するととも
に、創薬プロセスにおけるiP
S細胞の活用促進を図ります。

 ノロウイルス感染症には有効
な治療薬・ワクチンがないのが
現状です。医薬品候補の有効性
検証法が確立されていないこと
が主な要因で、確立に向け体外
で同ウイルスを増殖させる手法
の開発が進んでいます。

 エフ・ハイシークはヒト生体
由来の腸管上皮細胞に近い機能
を備え、薬剤など化合物の吸収
性を高精度に評価できます。さ
らなる応用の可能性を視野に国
内での感染が確認された主要6
種類の遺伝子型ヒトノロウイル
スをエフ・ハイシークに感染さ
せて5日間培養した所、同ウイ
ルスのRNA数が初日と比べて
最大164倍高まりました。

ノロウイルスの対策について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 ノロウイルス感染症の研究が
のろのろしか進まなかった。笑











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編集後記




 東京工科大学が1月20日、咳
止め薬(鎮咳剤)として承認さ
れているクロペラスチン塩酸塩
が、抗ガン剤のシスプラチンに
耐性を獲得したガン細胞を選択
的かつ強力に傷害する活性を示
すことを発見したと発表したの
は素晴らしい業績です。しかし、
現在の工夫がない抗ガン剤治療
では、耐性云々より、副作用で
治療継続が不能になる気がしま
す。クロノテラピー(時間治療
学)や、副作用軽減のミセルを
作るドラッグデリバリーシステ
ムを応用した治療を行いつつ、
耐性克服の治療を行うべきだと
考えています。
 富士フイルムが1月20日、創
薬支援用細胞で自社製品のヒト
人工多能性幹細胞(iPS細胞)
由来腸管上皮細胞「F-hiS
IEC(エフ・ハイシーク)」
を用い、ヒトノロウイルスを増
殖させることに成功したと発表
したのは、喜ばしいことです。
同ウイルスの医薬品候補に対す
る有効性検証の応用につながる
成果であることは、事実だと思
います。ノロウイルス感染症に
は有効な治療薬・ワクチンがな
いのが現状です。医薬品候補の
有効性検証法が確立されていな
いことが主な要因ですから検証
法が作られつつある今、医薬品
候補の検索が進むことを希望致
します。

 清貧な環境で製品を製造する。
















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