診療マル秘裏話  Vol.851 令和2年4月1日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)子宮内膜症に悩まされ続けてきた関東在住女性
2)心身相関の神経伝達路を、ラットにおいて発見















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 子宮内膜症に悩まされ続けてきた関東在住女性











 子宮内膜症に悩まされ続けて
きた関東在住の女性(43)は、
35歳だった2012年に右の卵巣か
ら病巣を取り除く手術を受けま
した。もう再発しないことを願
っていた3年後のことです。再
び会社で下腹部の痛みに襲われ
ました。ひとり会議室で机に突
っ伏し、おさまるのをまったが
良くならない。耐えられず、定
時で帰宅することにしました。
その晩、10回以上吐きました。
2~3日前からおなかがゴロゴロ
していました。「もしかして食
中毒?」と考えて、明け方に救
急外来を受診し、腸閉塞(へい
そく)と診断されました。「放
っておいたら命に関わる」と医
師に言われ、そのまま入院にな
りました。あまりの急展開に戸
惑いました。原因も思い当たる
節がありません。内視鏡で調べ
ると、大腸にうずらの卵大のか
たまりのようなものがあるとい
うことです。さらに、医師から
気になることを言われました。
「子宮内膜症の患者さんのなか
には、まれにその組織が腸まで
とぶ人がいます」手術の結果、
やはり子宮内膜症による病変で
した。とりのぞくため、盲腸の
すべてと、大腸、小腸の一部を
切除しました。しかし、災難は
さらに続きました。手術の翌日、
切ったおなかの痛み以上に、右
の鎖骨の下あたりに痛みを感じ
ました。息も苦しく感じました。
検査結果は、気胸でした。肺に
穴があいて、空気が漏れていた
のです。後日、医師から子宮内
膜症の組織が肺にとぶことで起
きる「月経随伴性気胸」の可能
性があると告げられました。腸
の次は肺でした。婦人科の病気
と思っていた子宮内膜症に、消
化器や呼吸器まで脅かされるな
んてと暗い気持ちになりました。
当時、会社の業務は多忙を極め
ていました。社内で50人ほどの
チームのリーダーを任されてい
ましたが、役割を果たし続ける
ことに精神的にも肉体的にも限
界を感じていました。そこに降
り掛かった腸や肺への子宮内膜
症の組織の転移でした。腸の病
巣は取り除くことができました
が、月経がある限り、再発のリ
スクはあります。退院後、仕事
を辞めました。30代半ばでこの
体調では、次に正社員で雇って
くれるところはないだろうと感
じました。しかし、一度リセッ
トして、体調と向きあいながら、
今後のことを考えたいと思いま
した。

子宮内膜症について解説してい

る動画です。

 

 

 

 



 隊長が体調と向き合いながら、
退庁した。        笑















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2】 心身相関の神経伝達路を、ラットにおいて発見











 名古屋大学は3月6日、脳の中
で心理や情動を処理する「心」
の領域と「体」を調節する領域
とをつなぐ「心身相関」の神経
伝達路をラットにおいて発見し
たと発表しました。これは同大
大学院医学系研究科統合生理学
の片岡直也特任助教と中村和弘
教授の研究グループによるもの。
研究成果は、米国の科学誌「Sc
ience」 (電子版)に掲載され
ています。心理ストレスや喜怒
哀楽といった情動が体の調節に
影響を与え、さまざまな身体反
応が生じる現象は「心身相関」
と呼ばれ、私達が日常生活の中
で経験することです。例えば、
心理ストレスを受けると、交感
神経系の活動が活発になるため、
心臓の拍動が速くなるとともに、
血圧や体温も上昇します。この
ような心身相関による生理反応
は、その強さとタイミングが適
切であれば生命活動に有益です。

しかし、「病は気から」といわ
れるように、心身相関が引き金
で疾患が起こる場合があります。
強い心理ストレスを受けると、
高体温の状態が続く心因性発熱
が起こりますが、これは解熱剤
が効かないことから治療が困難
なストレス関連疾患とされてい
ます。また、心理ストレスや不
安などが引き金となってさまざ
まな発作が起こるパニック障害
も、ストレスや情動が交感神経
系を強く活性化する心身相関に
よって発症する疾患です。さら
に、強いストレスを長期間受け
ると、さまざまな臓器の老化が
促進されると考えられています。
心身相関に関わる脳の神経メカ
ニズムを解明できれば、こうし
たストレス関連疾患の治療法の
開発や、ストレスと老化の関係
についての研究が加速すると考
えられます。心身相関は、脳の
視床下部の中にある交感神経系
を調節する領域が活性化するこ
とによって起こるとこれまで考
えられてきましたが、実際に脳
の中で、心理ストレスや情動と
いった「心」の信号がどのよう
にして視床下部の領域を活性化
するのかは長年の大きな謎でし
た。そこで研究グループは、ラ
ットを使って、視床下部の中で
交感神経系を調節する視床下部
背内側部という領域へ心理スト
レスの信号を入力する神経伝達
路を探索する研究を行いました。

その結果、ストレスや情動の信
号処理を行うことが知られてい
る大脳皮質の内側前頭前皮質の
中で機能が不明である「背側脚
皮質/背側蓋紐(がいちゅう)」
(dorsal peduncular cortex/
dorsal tenia tecta、以下DP/
DTT )と呼ばれる領域から視床
下部背内側部へ神経伝達路があ
り、心理ストレスを受けた時に
はこの伝達路を通じたストレス
信号の伝達が行われ、交感神経
系が活性化することを発見しま
した。 遺伝子技術を使ってDP
/DTT から視床下部背内側部へ
至る神経伝達路を選択的に破壊
したラットに社会的敗北ストレ
ス(テストラットのケージに攻
撃性の高い雄ラットを入れ、テ
ストラットにストレスをかける
こと)を与えると、通常のラッ
トでは生じる褐色脂肪組織での
熱の産生と体温の上昇が起こら
なくなりました。一方で、この
神経伝達路を破壊しても平常の
体温調節には影響がありません
でした。したがって、DP/DTT
から視床下部背内側部への神経
伝達路は、平常の生体調節には
関与しませんが、ストレス反応
を起こす信号の伝達に必要であ
ることが分かりました。

また、光遺伝学の技術を用いて、
DP/DTT から視床下部背内側部
へ至る神経伝達路を選択的に光
で抑制すると、通常は社会心理
ストレスによって起こる脈拍、
血圧、体温の上昇が強く抑制さ
れました。さらに、通常、動物
は自分を攻撃した個体(ストレ
ス源)から遠ざかる逃避行動を
示しますが、興味深いことに、
この神経伝達路を光で抑制され
たラットは、ストレス源の個体
から遠ざかることなく、積極的
に交流する行動を示しました。
加えて、DP/DTT は、情動を処
理する前脳の複数の領域からス
トレス信号を受け取ることも分
かりました。

これらの結果から、心理ストレ
スや情動の信号がDP/DTT で統
合され、交感神経制御の領域で
ある視床下部背内側部へ心身相
関の信号として送られることに
より、多様な身体反応が発現す
るものと考えられます。「この
神経路がパニック障害、心的外
傷後ストレス障害(PTSD)、心
因性発熱などの発症にどのよう
に関わるのかを明らかにするこ
とによって、こうしたストレス
関連疾患を根本的に治療できる
画期的な治療法の開発に貢献し
たい」と、研究グループは述べ
ています。

伝導路について解説している

動画です。

 

 

 

 

 



 画期的な治療法の開発に活気
を帯びる。        笑















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編集後記


 子宮内膜症に悩まされ続けて
きた関東在住の女性(43)が、
35歳だった2012年に右の卵巣か
ら病巣を取り除く手術を受けま
した。もう再発しないことを願
っていた3年後に腸と肺に再発
し、絶望的な心境になったと言
うのは本当だと思います。女性
なら、当然、挙児希望があるで
しょうし、子宮全摘は、受け入
れがたい選択だったと思います。
子宮内膜症自体、私は食生活に
不備があるのではないかと疑い
ます。食生活を正せば、一生苦
しめられるという、マイナスの
心理状況からも抜け出ることが
できると思います。
 名古屋大学が3月6日、脳の中
で心理や情動を処理する「心」
の領域と「体」を調節する領域
とをつなぐ「心身相関」の神経
伝達路をラットにおいて発見し
たと発表したのは、素晴らしい
業績です。心身相関の実態が分
かれば、心理的な状態を改善す
ることで、身体の不調を改善す
ることができるようになると考
えられるからです。この神経路
がパニック障害、心的外傷後ス
トレス障害(PTSD)、心因性発
熱などの発症にどのように関わ
るのかを明らかにすることによ
って、こうしたストレス関連疾
患を根本的に治療できる画期的
な治療法の開発に貢献して頂き
たいと切に願う次第です。

 至急、子宮内膜症を治療しな
ければならなくなった。  笑
















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