診療マル秘裏話  Vol.893 令和3年1月20日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)遺伝子異常タイプやCP薬効果予測で最適治療選択
2)二重課題運動が高齢者身体機能や認知機能向上













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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 遺伝子異常タイプやCP薬効果予測で最適治療選択









 肺ガンは進行するまで自覚症
状がない場合が多く、最も進行
した4期で発見されることも少
なくありません。しかし、肺ガ
ンの大半を占める「非小細胞肺
ガン」は、手術が難しい進行し
たガンでも、遺伝子異常のタイ
プや免疫チェックポイント(C
P)阻害薬の効果予測状況に合
わせて最適な治療を選べる時代
になってきました。兵庫県立ガ
ンセンター(兵庫県明石市)の
里内美弥子副院長に、非小細胞
肺ガンの治療の現状について聞
きました。

 肺ガンのうち進行が非常に速
く、他の臓器に転移しやすい小
細胞肺ガンは全体の10%ほどで、
多くは非小細胞肺ガンに分類さ
れます。非小細胞肺ガンの半数
以上は腺ガンで、喫煙との関連
が強い扁平(へんぺい)上皮ガ
ンが続きます。

 血液は、肺や心臓を通って全
身を循環しています。そのため、
肺のガン細胞は血流に乗って全
身に転移しやすいとされていま
す。早期(1期・2期)に発見
されれば手術が行われますが、
再発予防のため術後に抗ガン薬
を使うことも多いようです。ま
た、リンパ節に転移している3
期で手術ができない場合には、
放射線治療と抗ガン薬を併用し
ます。転移や胸水のある4期は
抗ガン薬を組み合わせた治療が
中心になります。

 里内副院長は「薬物治療は従
来、ガンの増殖を抑えてガン細
胞を破壊する細胞障害性抗ガン
薬が主流でした。しかし、分子
標的薬と免疫CP阻害薬の登場
により、3期以降の進行した肺
ガンの治療は様変わりしました」
と話しています。

 分子標的薬は、ガン細胞の発
生や増殖に関わる特定の分子(
蛋白質)を狙って攻撃します。
現在、六つの遺伝子の変異や異
常に対応した薬が承認されてい
ます。完治するわけではありま
せんが、ガンを小さくする可能
性が高く、一部では劇的な効果
が得られることがあります。

 一方、免疫CP阻害薬は、患
者さんの免疫細胞がガンを攻撃
できるように働きます。単独で
用いた場合、一部の人で治療終
了後もその効果が長く続く場合
があります。また、放射線治療
や抗ガン薬などと併用すると、
より効果が得られるという人が
増えることが報告されています。

 治療を始める前に、分子標的
薬が使える遺伝子異常の有無や
免疫CP阻害薬の効きやすさを
調べます。その上で、患者さん
の年齢や合併症、全身状態も考
慮して治療を選択します。分子
標的薬は飲み薬、免疫CP阻害
薬は点滴で投与し、いずれも通
院での治療が可能です。

 肺ガン治療は進歩を続けてお
り、治療効果や副作用に個人差
はあるものの、治療成績も飛躍
的に向上しています。里内副院
長は「転移のある肺ガンと診断
されても、自分に合った治療を
受けられれば、仕事を諦めるこ
となく普段通りの生活を続けら
れる可能性があります」と話し
ています。

免疫チェックポイント阻害剤に

ついて解説している動画です。

 

 

 

 



 秘薬で病状が飛躍的に改善す
る。           笑















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2】 二重課題運動が高齢者身体機能や認知機能向上














 筑波大学は12月28日、二重課
題運動の実践が、高齢者の身体
機能や認知機能を部分的に向上
させる上で有効である可能性が
示唆されたと発表しました。こ
れは、同大テーラーメイドQOL
プログラム開発研究センターの
尹之恩(ユン・ジウン)研究員
らの研究グループによるもので
す。研究成果は,「Aging」に掲
載されています。

 加齢に伴い身体や認知機能が
衰えていく一方で、運動の実施
が身体機能や認知機能の維持・
向上に寄与する可能性があるこ
とが報告されています。 近年、
動物実験や実験室レベルでのヒ
ト研究、疫学調査研究によって、
運動や身体活動による認知機能
の低下抑制効果を示唆するデー
タが数多く示されていますが、
それらのほとんどは、身体機能
の向上に着目しており、認知機
能に対する効果は微弱なもので
した。

 近年、運動課題と認知課題の
2つの課題を同時に行う二重課
題運動が注目されており、さま
ざまなプログラムが開発されて
います。研究グループは今回、
その一つとして、高齢者でも無
理なく楽しめる「シナプソロジ
ー(R)」 と呼ばれる運動プログ
ラムについて、高齢者の身体機
能と認知機能に与える有効性の
定量的評価を試みました。具体
的には、じゃんけん、ボール回
しといった基本動作に対し、感
覚器を通じて入る刺激や、認知
機能に対する刺激を変化させ続
け、その刺激に対して反応する
ことで、脳を活性化させていき
ます。できること(習得)を目
的とせず、できないことに対応
する状態を作り出すことで脳機
能の向上を図るものです。

 研究では、以下の実験により、
二重課題運動が高齢者の身体機
能や認知機能を維持・向上でき
る可能性を示しました。平均年
齢70.6歳(65〜77歳)の高齢者
24人を、二重課題運動を実施す
るグループ(実施群)と実施し
ないグループ(対照群)とに無
作為に分け、実施群には二重課
題運動を3週間に渡って、週2
回(60分/回) 実施しました。
その結果、参加者の身体機能評
価項目であるTUG(timed-up-an
d-go)と、認知機能評価項目で
ある25-hole trail-making peg
testおよび血液中の酸化ストレ
ス(d-ROMs)が維持・向上され
ました。一方、運動を実施しな
かった対照群は、これらの評価
項目の有意な向上は見られませ
んでした。

 今回の研究で実施した二重課
題運動プログラムは、8週間と
いう短期間でもその効果が認め
られたということです。また、
集団でも楽しめるように構成さ
れているため、実施群の運動参
加率の高さにつながったとして
います。

 今回の研究結果から、二重課
題運動が、高齢者の身体機能お
よび認知機能の維持・向上に有
効である可能性が示されました。
特に、普段運動習慣がないもし
くは運動に馴染みがない高齢者
も、楽しく実施できる工夫を施
すことにより、より効果的な運
動プログラムになると考えられ
ます。「このような運動プログ
ラムが自治体や介護施設などに
普及することで、認知症予防に
つながることが期待される」と、
研究グループは述べています。

二重課題運動の実際について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 漢方薬の駆風作用で、腸の動
きを工夫する。      笑















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編集後記




 肺ガンは進行するまで自覚症
状がない場合が多く、最も進行
した4期で発見されることも少
なくありません。しかし、肺ガ
ンの大半を占める「非小細胞肺
ガン」は、手術が難しい進行し
たガンでも、遺伝子異常のタイ
プや免疫チェックポイント(C
P)阻害薬の効果予測状況に合
わせて最適な治療を選べる時代
になってきたのは、喜ぶべきこ
とです。ただし、少数派ながら
肺小細胞ガンの予後は、極めて
悪く、遺伝子異常のタイプや免
疫チェックポイント(CP)阻
害薬の効果予測状況に合わせて
最適な治療をすることも事実上
できないことは、知っておくべ
きだと思います。
 筑波大学が12月28日、二重課
題運動の実践が、高齢者の身体
機能や認知機能を部分的に向上
させる上で有効である可能性が
示唆されたと発表したのは、素
晴らしい業績です。近年、動物
実験や実験室レベルでのヒト研
究、疫学調査研究によって、運
動や身体活動による認知機能の
低下抑制効果を示唆するデータ
が数多く示されていますが、そ
れらのほとんどは、身体機能の
向上に着目しており、認知機能
に対する効果は微弱なものとさ
れています。二重課題運動プロ
グラムは、8週間という短期間
でもその効果が認められたとい
うことですから、認知症予防に
は、もってこいのプログラムだ
と私は考えました。

 高齢者の恒例行事を老健で行
う。           笑













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