診療マル秘裏話  号外Vol.1726 令和2年2月16日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)グリコインスリンの化学合成に成功したと発表
2)慢性創傷を治療する目的で新規治療材料を開発














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 グリコインスリンの化学合成に成功したと発表











 大阪大学は1月21日、インス
リンに糖鎖が結合した新しい分
子である、「グリコインスリン」
の化学合成に成功したと発表し
ました。この研究は、同大大学
院理学研究科化学専攻有機生物
化学研究室の岡本亮講師、梶原
康宏教授らの研究グループが、
メルボルン大学Florey Institu
te of Neuroscience and Menta
l Health の Associate profes
sor であるAkhter Hossain(ア
クター ホサイン )氏らの研究
グループとの共同研究で行った
ものです。研究成果は、米国化
学会誌「Journal of the Ameri
can Chemical Society」にオン
ライン公開されています。糖尿
病を患う多くの人々に必要不可
欠な薬である「インスリン」は、
繊維化という現象によってその
かたちが壊れやすい、繊細な蛋
白質分子です。この繊維化がお
こると、インスリンは薬効を失
います。そのため、繊維化した
インスリンは廃棄し、新しいイ
ンスリン溶液を利用しなければ
なりません。インスリンの保存
期間(使用可能期間)がわずか
2日間から6日間に増加した場
合、米国では年間10億米ドル以
上節約できるという試算もなさ
れています。繊細なインスリン
を、適切にインスリンポンプに
よって投与するために、頻繁に
インスリンを含むポンプを交換
する必要もあり、インスリンを
使用することは、使用される人
々の経済的な負担だけでなく、
クオリティ・オブ・ライフの低
下にも大きく関わります。この
ため、より安定なインスリン分
子の開発がいまだに続けられて
います。今回、研究グループは、
糖鎖がインスリンに結合した新
しい分子である、「グリコイン
スリン」の合成に成功しました。
糖鎖は我々の体の中で、蛋白質
と結合した糖蛋白質として大量
に存在し、免疫などの様々な生
命現象に関わる重要な分子です。
梶原教授の研究グループは、こ
れまでに、高純度の糖鎖の大量
調製法を開発しており、この技
術を利用することで、いろいろ
な構造の糖蛋白質の合成が可能
であることをすでに見出してい
ました。

Associate Professor Hossain、
Professor Wadeらのグループは、
独自の化学技術で合成したイン
スリンに対して、岡本講師が誘
導化したシアル酸という糖を含
む特定の構造の糖鎖を導入し、
グリコインスリンを新しく合成
しました。解析の結果、このグ
リコインスリンは、高温のよう
な過酷な条件下でも繊維化せず、
極めて安定であることが判明し
ました。この結果は、糖鎖が蛋
白質の繊維化を防ぐ機能をもつ
ことを示唆しています。また、
マウスを利用したインスリン負
荷試験から、グリコインスリン
は通常のインスリンとほぼ同等
の機能をもっていることも明ら
かになりました。研究グループ
は、「今後、糖鎖が繊維化を防
ぐメカニズムなどの詳細を明ら
かにできれば、グリコインスリ
ンは、非常に安定な新しいイン
スリン分子として、将来の臨床
使用への有望な候補になること
が期待される」と述べています。

インスリン製剤の種類について

解説している動画です。

 

 

 

 



 商才の詳細を明らかにする。














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2】 慢性創傷を治療する目的で新規治療材料を開発














 大阪大学は1月22日、慢性創
傷を治療する目的で、新規治療
材料「シルクエラスチンスポン
ジ」を開発したと発表しました。
この研究は、同大大学院医学研
究科形成外科学講座 野田和男
助教らが、三洋化成工業株式会
社と共同で行ったものです。近
年、糖尿病患者さんの増加ある
いは高齢化に伴い、糖尿病性皮
膚潰瘍等に代表される慢性創傷
の増加が問題となっています。
慢性創傷を治癒させるためには、
湿潤を保ちつつ、細菌感染を起
こさないように毎日傷を洗浄し、
傷を治すための軟膏を使用した
り、被覆材を貼り替えたりする
必要があります。数日間交換し
なければ、細菌が増えて感染が
起こり、治癒が遅れるという悪
循環に至ります。

シルクエラスチンは、シルクフ
ィブロインの部分配列とエラス
チンの部分配列とを組み合わせ、
遺伝子組み換え技術により作製
された人工蛋白質です。シルク
エラスチン水溶液は、37度に温
めると蛋白質の構造が変化し、
水分を含んだ状態でゲル化する
という特徴があります。この特
徴を利用して創傷治癒材の開発
を行った所、動物実験において、
シルクエラスチンゲルが細菌感
染を助長せず、創傷治癒を促進
することを発見したということ
です。研究グループが行った動
物実験では、感染しやすい傷に
対してシルクエラスチン水溶液
を創傷治癒材として使用しまし
た。その結果、感染を助長せず、
創傷の治癒を促進する効果が見
られました。そこで、実際の難
治性皮膚潰瘍に対して臨床使用
することを計画しました。臨床
の現場で使いやすいよう、シル
クエラスチンをスポンジ形状に
加工したシルクエラスチンスポ
ンジを作製しました。シルクエ
ラスチンスポンジを皮膚の傷に
貼付すると、傷から出る体液に
よりシルクエラスチンスポンジ
が溶解します。この溶解したシ
ルクエラスチン溶液が傷の表面
でゲル化し、創傷の治癒を促進
する効果があることを確認しま
した。

さらに、シルクエラスチンスポ
ンジの安全性を確認するための
医師主導治験を2018年2~12月
まで、6例に対して行いました。
その結果、重篤な重症度の高い
有害事象は起こらず、治験機器
の不具合も認められず、安全性
が確認されたということです。
この結果を受け、有効性を検証
する企業治験を行う方針が決定
されました。

今回の医師主導治験は、シルク
エラスチンスポンジの安全性確
認、課題の抽出、有効性の評価
指標の確立を目的としたもので、
いずれも達成しました。研究グ
ループは、「ヒトに対する初の
使用経験となった本治験のデー
タをもとに、今後の企業治験を
計画し、さらなる知見を深める
予定です。2020年度中に企業治
験を開始し、将来的には医療機
器としての承認を目指している」
と、述べています。

難治性潰瘍の治療について解説

している動画です。

 

 

 



 指標の確立の確率を計算する。

















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編集後記


 大阪大学が1月21日、インス
リンに糖鎖が結合した新しい分
子である、「グリコインスリン」
の化学合成に成功したと発表し
たのは偉大な業績です。このグ
リコインスリンは、高温のよう
な過酷な条件下でも繊維化せず、
極めて安定であることが判明し
たのには、驚かせられました。
また、マウスを利用したインス
リン負荷試験から、グリコイン
スリンは通常のインスリンとほ
ぼ同等の機能をもっていること
も明らかになったということで
すから、凄いインスリン製剤が
開発されそうで、糖尿病の方々
にとっては、朗報でしょう。
 大阪大学が1月22日、慢性創
傷を治療する目的で、新規治療
材料「シルクエラスチンスポン
ジ」を開発したと発表したのは、
素晴らしい業績です。糖尿病の
皮膚潰瘍と言えば、非常に難治
性の病気だと聞いています。動
物実験において、シルクエラス
チンゲルが細菌感染を助長せず、
創傷治癒を促進することを発見
したというのも本当に驚くべき
効果だと思います。このシルク
エラスチンゲルの恩恵を沢山の
糖尿病性の難治性潰瘍を抱えて
いる患者さんに分けてあげて欲
しいのです。

 創傷の処置を総称して手当と
言う。          笑















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