診療マル秘裏話  号外Vol.1826 令和2年6月12日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)抗IgE抗体オマリズマブが,アスピリン喘息、AERDに有効
2)自己免疫性脱髄疾患急性散在性脳脊髄炎に似る















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 抗IgE抗体オマリズマブが,アスピリン喘息、AERDに有効












 日本医療研究開発機構(AMED)
は5月19日、IgEが関与するアレ
ルギー性喘息の治療薬である抗
IgE 抗体オマリズマブ(商品名:
ゾレア(R)、ノバルティスファ
ーマ株式会社)について,非アレ
ルギー性とされるアスピリン喘
息(解熱鎮痛薬過敏喘息、AERD)
に有効なことを確認したと発表
しました。この研究は、国立病
院機構相模原病院の林浩昭医師
らと同院臨床研究センター客員
研究部長・湘南鎌倉総合病院免
疫・アレルギーセンターの谷口
正実研究開発代表者、名古屋大
学大学院呼吸器内科学、佐賀大
学医学部分子生命科学講座らの
研究グループによるものです。
研究成果は、米国胸部学会誌「
American Journal of Respirat
ory and Critical Care Medici
ne」にオンライン掲載されてい
ます。AERDは、重い喘息と好酸
球性副鼻腔炎を特徴とし、大人
の喘息患者さんの10%を占めて
います。有効な治療法はなく、
国際的にも大きな課題です。AE
RDの特徴として、(1)アスピリ
ンなどの解熱鎮痛薬で誘発され
る急激な喘息発作やアレルギー
症状、(2)アスピリンなどを避
けていても日常的に持続する重
い喘息や鼻症状、(3)鼻ポリー
プを伴う重症好酸球性副鼻腔炎、
(4)アレルギーを悪化させる化
学伝達物質であるシスティニル
ロイコトリエン(CysLT )が体
内で過剰に産生される、の4点
が知られています。また、AERD
は遺伝することはなく、成人後
に発症し、その体質は一生続き
ます。機序は明らかになってい
ません。動物モデルや細胞モデ
ルがないため、AERD患者さんの
協力により、その研究が可能と
なります。

これまでに研究グループは、観
察研究において、アスピリン過
敏反応ではマスト細胞の活性化
による大量のCysLT 産生を認め
ること、オマリズマブを1年間
継続すると、AERDの特徴である
前述の(2)(3)(4)が改善し、
マスト細胞の活性化も正常化す
ることを証明しています。しか
し、偽薬を用いた二重盲検試験
でのオマリズマブの効果は証明
されていないため科学的証拠は
十分でなく、また、AERDの本質
である、前述の(1)のアスピリ
ン感受性への効果も明らかでは
ありませんでした。

オマリズマブは、IgE が関与す
る重症アレルギー性喘息などに
対して、10年以上にわたって世
界の医療現場で使用され、その
安全性は確立されています。今
回の研究では、AERD患者さん16
例の協力のもと、オマリズマブ
もしくは偽薬を4週間に1回、
合計3回、二重盲検比較試験で
皮下注射する臨床試験を実施し
ました。試験の結果、日常の喘
息や副鼻腔炎症状だけでなく、
アスピリン内服検査(国際基準
の安全な内服試験)で誘発され
る「CysLT の増加」「マスト細
胞の活性化」「喘息や副鼻腔炎
症状」などに対して、全て有意
に改善したということです。さ
らに10/16例(63%)のAERD患
者さんにおいて、アスピリンに
対する反応(アスピリン感受性)
が完全になくなることが判明し
ました。また、残りの6例も症
状の改善を認めたということで
す。

この効果の機序について、研究
グループは、明らかにマスト細
胞の活性化やシスティニルロイ
コトリエン産生が減少したこと
から、オマリズマブが(IgE 受
容体を高発現している)マスト
細胞を安定化させた、と推定し
ています。

今回の無作為化二重盲検試験に
より、オマリズマブがAERD患者
さんの症状改善だけでなく、特
徴的な4つの病態全てに効果が
あることが証明されました。さ
らに、AERD患者の本質であるア
スピリン感受性も消失させるこ
とが判明しました。研究グルー
プは、同試験により、AERDに対
するオマリズマブの適用追加が
得られたわけではないとしつつ、
今後、今回の研究の発展により、
オマリズマブが多くの重症AERD
患者さんの症状改善に貢献する
ことが期待される、と述べてい
ます。

アスピリン喘息について解説し

ている動画です。

 

 

 



 班名が判明する。笑













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2】 自己免疫性脱髄疾患急性散在性脳脊髄炎に似る












 東北大学は5月19日、脱髄性
疾患のうち、髄鞘に存在する蛋
白質(ミエリンオリゴデンドロ
サイト糖蛋白質)に対する自己
抗体が原因で血管周囲の神経繊
維の脱髄が生じる一群の疾患が、
急性散在性脳脊髄炎と似た特徴
を持つことを初めて報告したと
発表しました。この研究は、同
大大学院医学系研究科の高井良
樹助教、三須建郎講師、青木正
志教授を中心とする研究グルー
プによるものです。研究成果は、
「Brain 」の電子版に掲載され
ています。多発性硬化症に代表
される脱髄性疾患は、異なる自
己抗体や免疫細胞応答が複雑に
絡み合ったさまざまな病態を有
する疾患の集まりであると考え
られており、実際に視神経脊髄
炎は多発性硬化症から独立した
疾患概念となっています。近年、
脱髄性疾患の中に、髄鞘蛋白質
であるミエリンオリゴデンドロ
サイト糖蛋白質に対する抗体(
抗MOG 抗体)が原因となって引
き起こされるものがあることが
知られるようになり、急性に多
発する脳病変、広範囲の脳脊髄
の病変や両眼の視神経炎など、
多発性硬化症とも異なる特徴を
持つことが明らかになってきま
したが、なぜそのような病変が
起こるのかは不明でした。今回、
研究グループは、多施設共同研
究として、血液中の抗MOG 抗体
反応が陽性だった患者さんから
の脳組織の標本を11例集め、そ
の臨床病理学的な特徴を調べま
した。その結果、抗MOG 抗体関
連疾患における病理組織におい
ては、血管の周囲にリンパ球(
CD4陽性細胞やB細胞)やマクロ
ファージといった炎症細胞が浸
潤し、血管周囲の神経線維に限
局して脱髄が起こる特徴を持つ
ことが判明しました。これらの
特徴は、急性散在性脳脊髄炎に
おける脱髄の仕組みとして知ら
れてきた特徴と一致すると考え
られました。

さらに、血管周囲の脱髄病変を
詳しく調べた結果、髄鞘の表面
に存在するMOG が選択的に脱落
する病変が認められることが明
らかとなりました。一方、主に
髄鞘の内側に存在するミエリン
塩基性蛋白質やミエリン随伴性
糖蛋白質などは脱髄の病変部位
でも比較的保たれており、髄鞘
表面のMOG に対する自己免疫応
答が起こっていることが示唆さ
れました。また、MOG 抗体関連
疾患の特徴と考えられる血管周
囲の神経線維の脱髄は、病状が
進むと血管周囲の脱髄病変が互
いに癒合して、より広範囲な病
変となることが明らかになりま
した。その病変の形成過程は急
性散在性脳脊髄炎の特徴とよく
似ており、全体的に血管周囲に
生じた炎症と血管周囲の病巣が
互いに癒合して広範囲の病変を
形成することが示され、多発性
硬化症とは異なる機序で病変が
拡大する特徴があることが分か
りました。

今回の研究によって、抗MOG 抗
体による脱髄の仕組みが解明さ
れ、多発性硬化症や視神経脊髄
炎とも異なる特徴を持つ疾患で
あることが明らかとなりました。
抗MOG 抗体関連疾患は、従来の
脱髄性疾患とは適切な治療法も
全く異なる疾患であることが示
されました。研究グループは、
「今回の発見により、抗MOG 抗
体関連疾患の病態の解明や治療
法の開発がさらに進むとともに、
これまで未解明であった脱髄性
疾患の多様性の理解が一層進む
ことが期待される」と、述べて
います。

急性散在性脳脊髄炎について、

解説している動画です。

 

 

 

 



 警世の団体を形成する。笑











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編集後記



 日本医療研究開発機構(AMED)
が5月19日、IgEが関与するアレ
ルギー性喘息の治療薬である抗
IgE 抗体オマリズマブ(商品名:
ゾレア(R)、ノバルティスファ
ーマ株式会社)について,非アレ
ルギー性とされるアスピリン喘
息(解熱鎮痛薬過敏喘息、AERD)
に有効なことを確認したと発表
したのは、喜ばしいことです。
AERDは、重い喘息と好酸球性副
鼻腔炎を特徴とし、大人の喘息
患者さんの10%を占めています。
有効な治療法はなく、国際的に
も大きな課題とされていること
は、医療関係者であれば、周知
の事実です。その上で、治療法
が見つかったということは驚天
動地としか言いようがありませ
ん。
 東北大学が5月19日、脱髄性
疾患のうち、髄鞘に存在する蛋
白質(ミエリンオリゴデンドロ
サイト糖蛋白質)に対する自己
抗体が原因で血管周囲の神経繊
維の脱髄が生じる一群の疾患が、
急性散在性脳脊髄炎と似た特徴
を持つことを初めて報告したと
発表したのは、素晴らしい業績
です。抗MOG 抗体関連疾患にお
ける病理組織においては、血管
の周囲に,リンパ球(CD4陽性細
胞やB細胞)や,マクロファージ
といった炎症細胞が浸潤し、血
管周囲の神経線維に限局して脱
髄が起こる特徴を持つことが判
明したことは、地道に調べない
と分からないことだと思います。

 原曲の面影を留めるように、
限局的なアレンジをした。 笑













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