診療マル秘裏話  号外Vol.1829 令和2年6月15日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)運動主体感と脳卒中後運動障害の関係性を検証
2)肝硬変の患者さんは約4割がサルコペニア罹患















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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 運動主体感と脳卒中後運動障害の関係性を検証












 畿央大学ニューロリハビリテ
ーション研究センターは5月21
日、2人の脳卒中患者さんを対
象に、運動主体感と脳卒中後運
動障害の関係性について縦断的
に検証した結果を発表しました。
これは、同大大学院博士後期課
程の宮脇裕氏(日本学術振興会
特別研究員、慶應義塾大学医学
部リハビリテーション医学教室)、
同センターセンター長の森岡周
教授、仁寿会石川病院リハビリ
テーション部の大谷武史室長の
研究グループによるものです。
研究成果は、「Brain Sciences」
に掲載されています。自己由来
感覚と外界由来感覚を区別する
ことは「自他帰属」と呼ばれて
おり、これが上手くいかなくな
ると、「自分が運動を制御して
いる」という意識経験である運
動主体感の変容を招いたり、不
必要な感覚に基づいて運動を遂
行してしまったりすることが分
かっています。この自他帰属に
ついて、運動障害を有する脳卒
中患者さんは、感覚を誤って帰
属(誤帰属)することがあると
いう報告があります。 しかし、
脳損傷そのものが誤帰属を招く
のか、感覚運動障害などに伴う
二次的な影響により誤帰属が生
じるのかは明らかになっていま
せん。そこで、研究グループは、
運動障害と運動主体感の関連性
を検証するため、高次脳機能障
害を招き得る皮質損傷を有さな
い脳卒中患者さん2人について
検討しました。運動障害があり
日常生活で麻痺肢をほとんど使
用できていない患者さんA氏と、
運動障害がごく軽度で日常生活
で麻痺肢をほぼ正常に使用でき
ている患者さんB氏が実験に参
加しました。脳卒中発症後2、4、
8週目の3地点で上肢運動課題を
実施しました。上肢運動課題で
は、参加者は、モニター上に水
平に表示されたターゲットライ
ンをなぞるように、ペンタブレ
ット上で水平運動を遂行しまし
た。この際、視覚フィードバッ
クとしてカーソルが表示されて
いました。

カーソルの動きには、自分のリ
アルタイムの運動が反映されて
いる場合(SELF条件)と、事前
に記録した他者運動が反映され
ている場合(OTHER 条件)を設
定しました。参加者には、自分
の実際のペン運動とカーソル運
動の時空間的な一致性に基づい
て、カーソルが自己運動と他者
運動のどちらを反映しているか
の判断を求めました。麻痺肢の
使用頻度および機能については、
日常生活でどの程度正常に麻痺
肢を使用できているかを測るMo
toractivitylog (MAL)や、上
肢の脳卒中後運動障害の包括的
評価法であるFugl-Meyer Asses
sment of upperextremity(FM
A-UE)などにより評価しました。

その結果、患者さんA氏は、4
週目でOTHER 条件における有意
な誤帰属(他者運動のカーソル
を自分の運動と判断)を認めた
一方、患者さんBでは全ての地
点で誤帰属を認めませんでした。
また、患者さんA氏の誤帰属は、
MAL 値が向上(日常生活で麻痺
肢をほとんど正常に使用)した
8週目には大幅な改善を認めま
した。

今回の研究により、皮質下損傷
を有する脳卒中患者さんの運動
主体感が、脳損傷そのものより
も麻痺肢の機能障害や使用頻度
に関連しており、それらの変化
に応じてダイナミックに変化す
る可能性が示唆されました。「
今後は、この誤帰属の原因およ
び機能回復に及ぼす影響を解明
するために、実験手続を修正し
た上で、多くの参加者を対象に
縦断研究を実施する予定だ」と、
研究グループは述べています。

脳卒中片麻痺のリハビリについ

て解説している動画です。

 

 

 

 



 銃弾の貫通力について、日本
縦断研究を実施した。   笑















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2】 肝硬変の患者さんは約4割がサルコペニア罹患












 大阪市立大 生活科学研究科
の羽生大記(はぶだいき)教授
(肝臓病学)は、慢性の肝臓病
患者さんの生活習慣について研
究しています。最近注目してい
るのが、肝臓病と筋肉の関係で
す。慢性の肝臓病の大きな原因
はB型やC型肝炎のウイルスで
す。ここ5年ほどで新たな薬が
相次いで登場し、ウイルス性の
肝炎は抑えることができるよう
になったものの、別の問題が起
きるようになってきました。羽
生さんらが、C型肝炎の進行で
肝臓が硬くなる肝硬変になった
患者さん50人を調べたところ、
そのうち4割の患者さんは、「
サルコペニア」になっているこ
とが分かりました。サルコペニ
アとは、ギリシャ語で筋肉を表
すサルコと、喪失を意味するペ
ニアを組み合わせた造語です。
加齢などで筋肉量が落ち、筋力
低下が起きた状態を指していま
す。肝臓は、食事から得たエネ
ルギーを蓄える働きがあります。
しかし、肝硬変によって肝臓機
能が低下し、エネルギーをうま
く蓄えられなくなると、エネル
ギー不足を補うために、筋肉を
つくるためのアミノ酸が使われ、
筋肉量が減ってしまいます。ま
た、ウイルス性の肝炎の患者さ
んは「なるべく安静に」という
生活指導を受けます。せっかく
薬で肝機能が良くなっても、日
頃からの運動不足で、同年代よ
り骨格筋の量が少なく、「筋肉
年齢」は10歳ほど上になってい
ることがあります。羽生さんら
が患者さんを詳しく調べると、
1日5千歩以上歩いたり、1日に
体重1キロあたり30キロカロリ
ー以上の食事をバランス良く食
べたりする人では、筋肉量が減
るリスクが減っていました。そ
こで、研究室では肝臓病患者の
筋力低下を防ごうと、健康教室
を開いています。きな粉を混ぜ
た低脂肪牛乳などでアミノ酸を
摂取したり、早歩きと通常の歩
行を3分ずつ5セット繰り返すな
どの運動をしたりすることで、
運動機能の維持をめざしていま
す。羽生さんは「体の運動機能
が良くなると、後の人生も良く
なる。肝臓が悪くなった人でも
どういう運動なら無理なく長続
きできるか調べていきたい」と
話しています。ウイルスが原因
ではない、生活習慣病として知
られる肝臓病もあります。必要
以上のカロリーをとると、肝臓
の細胞に中性脂肪がたまり、や
がて「脂肪肝」になる。飲酒し
ていない人がなる「非アルコー
ル性脂肪肝炎(NASH)」も知ら
れるようになってきました。体
重増加で内臓脂肪がたまる「メ
タボ」は肝臓にじわじわとダメ
ージを加える状態になります。
40歳を超えたら、食事や運動療
法を考え始めたほうがいいよう
です。羽生さんは「メタボの人
は体重を落とせば肝臓の悪い数
値は下がる。3カ月かけて体重
を5%落とすのが理想。高齢者と
違って、少し負荷をかけた運動
をしてもいい」と話しています。

サルコペニア対策について解説

している動画です。

 

 

 



 負荷を付加するのは不可だ。

















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編集後記



 畿央大学ニューロリハビリテ
ーション研究センターが5月21
日、2人の脳卒中患者さんを対
象に、運動主体感と脳卒中後運
動障害の関係性について縦断的
に検証した結果を発表したのは、
素晴らしい業績です。 今回の
研究により、皮質下損傷を有す
る脳卒中患者さんの運動主体感
が、脳損傷そのものよりも麻痺
肢の機能障害や使用頻度に関連
しており、それらの変化に応じ
てダイナミックに変化する可能
性が示唆されたのは、脳損傷を
受けた患者さんにとって、福音
となることは、間違いありませ
ん。
 慢性の肝臓病の大きな原因は
B型やC型肝炎のウイルスです
が、ここ5年ほどで新たな薬が
相次いで登場し、ウイルス性の
肝炎は抑えることができるよう
になったものの、新たな問題と
して、肝硬変になった肝炎患者
さんが、サルコペニアになると
言うものです。体重増加で内臓
脂肪がたまる「メタボ」は肝臓
にじわじわとダメージを加える
状態になるということですが、
内臓脂肪は、肝臓にだけダメー
ジを与える訳ではありません。
循環器の病気に非常になりやす
くなるという問題もあります。
運動さえすれば、皮下脂肪に較
べて内臓脂肪は落ちやすいこと
が分かっているので運動不足と
ならないよう気を付ける必要が
あります。

 内臓脂肪を運動で取れば死亡
は遠のく。        笑

















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