診療マル秘裏話  号外Vol.2278 令和3年11月21日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)核医学でガン組織まで効率よく治療薬運ぶ仕組
2)骨粗鬆症薬に腎保護や血管石灰化抑制効果あり














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 核医学でガン組織まで効率よく治療薬運ぶ仕組

















 量子科学技術研究開発機構高
崎量子応用研究所(群馬県高崎
市)などは10月28日、体内のガ
ン組織まで効率よく治療薬を運
ぶ仕組みを開発したと発表しま
した。放射性薬剤を体内へ投与
するガン治療法の一つ「核医学
治療」での高い効果と、低い副
作用を見込んでいます。この仕
組みを応用することで、さまざ
まな部位に対する治療薬の開発
が進むことが期待されます。

 同研究所と千葉大、東京工業
大、大阪大の共同研究グループ
で研究しました。「核医学治療」
は体の中から放射線を当てる治
療法です。同研究所によると、
国内で承認されていないが海外
に先進例があり、関係者からは
「次世代のガン治療」として注
目され、研究が進んでいます。

 研究グループは、治療効果の
高い「アルファ線」を出す放射
性物質「アスタチン―211」 に
着目しました。同物質とガンに
集まる抗体を結合させた化合物
をガン組織に届ける必要があり
ますが、投与後、体内にある酵
素によって抗体と同物質が離れ
ることが課題でした。離れると、
同物質が正常な部位に集まるこ
とによる副作用が懸念されるほ
か、ガンに届く量も少なく、治
療効果が減少するということで
す。

 本研究では、2つの水酸基を
有するネオペンチル構造を使用
した211At 標識法により生体内
でも安定した211At 結合分子(
抗体と同物質が離れない安定し
た分子)を構築できることを実
証しました。今後、この211At
標識法を応用することで、より
有効で安全な核医学治療用薬剤
の開発につながることが期待さ
れます。また、本検討では、21
1At 標識体と放射性ヨウ素標識
体が類似した体内動態を示した
ことから、対応する標識薬剤の
組み合わせによるラジオセラノ
スティクスへの応用も期待でき
るということです。

 セラノスティクス(Theranos
tics)は、もともと治療(Ther
apeutics)と診断(Diagnostic
s) を組み合わせた造語であり、
診断と治療の融合により安全に
効果的に医療を行う手法として
近年注目されています。このセ
ラノスティクスシステムを確立
するための一つの手段として、
放射性同位元素(RI)で標識し
た放射性プローブを用いたラジ
オセラノスティクス(Radiothe
ranostics) が有効であるとさ
れています。

後半でアスタチンについて解説

している動画です。

 

 

 

 



 主峰を攻略する手法を考える。















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2】 骨粗鬆症薬に腎保護や血管石灰化抑制効果あり















 骨粗鬆症治療薬は、有害事象
への懸念から慢性腎臓病(CKD)
患者さんには慎重投与とされる
薬剤が多く、CKD 患者さんに対
する有効性のエビデンスは十分
に蓄積されていませんでした。
しかし最近、抗RANKL 抗体デノ
スマブが骨折予防効果だけでな
く、腎保護や血管石灰化抑制効
果なども併せ持つことを示唆す
る報告がなされています。第23
回日本骨粗鬆症学会/第39回日
本骨代謝学会 (10月8~10日、
ウェブ開催)で、昭和大学腎臓
内科学部門の井芹健氏は「デノ
スマブの使用がCKD 患者に意外
な効果をもたらし、予後改善に
つながる可能性がある」と述べ
ました。

 CKD 患者さんでは、腎機能の
低下に伴い骨粗鬆症や骨折のリ
スクが高まります。骨密度の低
下や骨折は死亡率を上昇させ、
特に大腿骨頸部や椎体の骨折は
予後不良であることが知られて
おり(Bone 2020; 130: 115075、
133: 115242、140: 115554)、
CKD 患者さんにおいて骨密度や
骨粗鬆症の改善は極めて重要と
なります。

 こうした背景を踏まえ、井芹
氏はまず、デノスマブの有効性
について紹介しました。これま
での臨床試験ではCKD 患者さん
を対象から除外するケースが多
かったのですが、閉経後の骨粗
鬆症女性を対象としたFreedom
試験(N Engl J Med 2009; 361:
756-765) を再解析した研究で
は、デノスマブ投与によりステ
ージ1~4のCKD 患者さんでも骨
密度の上昇が認められ(J Clin
Endocrinol Metab 2021; 106:
397-409、J Bone Miner Res 20
11; 26: 1829-1835),骨折発生
率についてもプラセボ群と比べ
ステージ1~4のCKD 患者さんで
低下していました。特にステー
ジ1(842例)および2(4,069例)
では、椎体骨折のオッズ比がそ
れぞれ0.33(95%CI 0.16~0.6
6),0.23(同0.54~0.89)と著
明な予防効果が示されました(
J Bone Miner Res 2011; 26: 1
829-1835)。

 次に井芹氏は安全性について、
重度のCKD 患者さんではデノス
マブにより低カルシウム(Ca)
血症が起こる恐れが強く、『骨
粗鬆の予防と治療ガイドライン
2015年版』では慎重投与とされ
ている点を指摘しました。「CK
D が増悪するほど低Ca血症を発
症しやすくなり、特に透析導入
に至った患者では発症率が高い
(Sci Rep 2020; 10: 2496)」
と述べました。

 その上で、血液透析患者さん
にデノスマブとCa製剤およびビ
タミンD 製剤を投与した、自身
の研究を紹介(J Bone Miner R
es 2019; 34: 1014-1024) しま
した。「デノスマブ投与初期の
低Ca血症についてはCa製剤など
によりコントロールでき、維持
透析患者で骨密度の上昇を認め
た。一方、懸念された血管石灰
化の増悪や長期的なCKD に伴う
骨・ミネラル代謝異常(CKD-MB
D) のコントロールへの悪影響
は認められなかった。血清リン
値の上昇が認められたが、デノ
スマブの有効性から考えて高リ
ン血症に対する治療介入の必要
性については疑問だ」と述べま
した。

 また、「顎骨壊死については
元来発生頻度が低く、さらなる
データが必要」としつつも、そ
の他の重篤な有害事象の発生は
プラセボ群と同程度であり(J
Bone Miner Res 2011; 26: 182
9-1835)、適切なCaやビタミン
D の補充および頻回なモニタリ
ングを行えば、透析患者さんを
含めたCKD 患者さんへのデノス
マブ投与は可能との見方を示し
ました。

 さらに井芹氏は、軽度~中等
度のCKD を含む骨粗鬆症患者に
デノスマブを投与したところ、
24カ月後のeGFRが2.75±1.2mL/
分/1.73m2 上昇したとする研究
を提示(J Bone Miner Res 201
9; 34: 2028-2035)しました。
他にも、CKD-MBD で見られる血
管石灰化の面積が、血液透析中
でデノスマブ非投与群では30カ
月後に増大していたのに対し(
大動脈弓で平均29.4%→46.3%)、
デノスマブ投与群では縮小した
(同24.8%→12.5%)という報
告を紹介しました(Kidney Int
Rep 2020; 6: 605-612)。

 こうした知見から、同氏は「
デノスマブには骨折抑制だけで
なく、腎保護や血管石灰化抑制
についても効果が期待できる」
とし、「CKD 患者の骨および血
管に好影響を及ぼす可能性があ
る」と展望しました。

デノスマブについて解説してい

る動画です。

 

 

 

 


 保護者が、約束を反故にする。















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編集後記


 量子科学技術研究開発機構高
崎量子応用研究所(群馬県高崎
市)などが10月28日、体内のガ
ン組織まで効率よく治療薬を運
ぶ仕組みを開発したと発表した
のは素晴らしい業績です。治療
には、同物質とガンに集まる抗
体を結合させた化合物をガン組
織に届ける必要がありますが、
投与後、体内にある酵素によっ
て抗体と同物質が離れることが
課題でした。この課題を2つの
水酸基を有するネオペンチル構
造を使用した211At 標識法確立
で乗り越えたのは、ユニークか
つエレガントな手法だと思いま
す。今後の研究でラジオセラノ
スティクス(Radiotheranostic
s) に期待したいと思います。
 骨粗鬆症治療薬が、有害事象
への懸念から慢性腎臓病(CKD)
患者さんには慎重投与とされる
薬剤が多く、CKD 患者さんに対
する有効性のエビデンスは十分
に蓄積されていないとされてい
たのを抗RANKL 抗体デノスマブ
が骨折予防効果だけでなく、腎
保護や血管石灰化抑制効果など
も併せ持つことを示唆する報告
が最近なされているのは、常識
破りの効果だと私は考えていま
す。しかし、エビデンスさえあ
れば、今までの常識を打ち破る
治療を行っても差し支えないと
私は、考えます。ただ効能効果
が違えば、用法用量も異なって
くる可能性もあるので、慎重に
投与して頂きたいと思います。

 身長を慎重に測定する。 笑
















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