診療マル秘裏話  号外Vol.2284 令和3年11月28日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次
 
1)最長寿げっ歯類神経幹細胞を単離・培養に成功
2)飲むワクチン技術の安全性を東大医科研チームが,確認














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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 最長寿げっ歯類神経幹細胞を単離・培養に成功















 熊本大学と慶應義塾大学(慶
大)は11月1日、老化しにくい、
ガンになりにくいなどの特徴を
持つ最長寿げっ歯類「ハダカデ
バネズミ」の脳から、神経幹細
胞を単離・培養することに成功
したと発表しました。

 同成果は、熊本大大学院 医
学教育部の山村祐紀大学院生、
同・大学院 先導機構/同・大学
院 生命科学研究部 老化・健康
長寿学講座の河村佳見助教、同・
三浦 恭子准教授、慶大医学部
先端医科学研究所 遺伝子制御
研究部門の大西伸幸訪問研究員、
同・佐谷秀行教授らの共同研究
チームによるものです。詳細は、
日本炎症・再生医学会の観光す
る英文学術誌「Inflammation a
nd Regeneration」 に掲載され
ました。

 ハダカデバネズミは、アフリ
カ北東部の地下に暮らす小型の
げっ歯類で、マウスと同程度の
大きさながら、30年を超す寿命
を有する最長寿のげっ歯類とし
て知られています。また、老化
しにくく、生涯に渡ってほとん
ど腫瘍形成が起こらない顕著な
ガン化耐性を持つことから、近
年、その特性をヒトに応用する
ために研究が進められていると
いうことです。

 神経幹細胞は、主に脳の「脳
室下帯」や「海馬歯状回」に存
在する組織幹細胞で、ニューロ
ンなどの分化細胞を供給するこ
とで、中枢神経系の恒常性維持
に寄与しています。そして、神
経幹細胞の枯渇や機能不全は老
化やガンの一因となります。ハ
ダカデバネズミは、老化しにく
く顕著なガン化耐性を持つこと
から、神経幹細胞の枯渇や機能
不全に耐性を持つことが予測さ
れています。しかし、これまで
ほとんど研究されてこなかった
ということです。そこで研究チ
ームは今回、ハダカデバネズミ
の脳室下帯から神経幹細胞を単
離し、その基礎的な性状の解析
を試みることにしたということ
です。

 その結果、ハダカデバネズミ
新生仔の脳室下帯から神経幹細
胞および神経前駆細胞(神経幹/
前駆細胞)を単離,浮遊培養およ
び接着培養の培養条件を確立し
たほか、同細胞を分化誘導する
とニューロン、アストロサイト、
オリゴデンドロサイトが出現す
ることが確認され、神経幹細胞
としての基本的な要件を満たし
た状態を維持できていることも
確認されたということです。

 また、同じ手法で単離された
マウス神経幹/前駆細胞との細
胞増殖比較を行った所、ハダカ
デバネズミ神経幹/前駆細胞は、
マウス比で倍加時間が1.5 倍ほ
ど長く、細胞周期のG0期(細胞
分裂を停止している期間)およ
びG1期(細胞分裂の準備期間)に
属する細胞の割合が高いことが
判明した他、それぞれの神経幹
/前駆細胞に対するγ線照射実
験からは、ハダカデバネズミ神
経幹/前駆細胞は、DNA二重鎖切
断マーカーである「γH2AX」の
シグナル強度がマウスと比較し
て低く抑えられており、DNA 損
傷修復マーカーである「53BP1」
や「pATM」がより多く損傷部位
に集積していることが確認され
たということです。

 さらに、ハダカデバネズミ神
経幹/前駆細胞はマウスとは異
なり、γ線が照射されて24時間
後においても細胞死がほとんど
亢進していないことも確認され
たとしており、これらの結果は、
ハダカデバネズミ神経幹/前駆
細胞がDNA 損傷に対して耐性を
持っていることを示すものであ
ると考えられると研究チームで
は説明しています。

 これらの結果を踏まえ研究チ
ームでは、ハダカデバネズミ神
経幹/前駆細胞が持つ細胞増殖
の遅さやDNA 損傷への耐性は、
ハダカデバネズミの長い生涯の
中で、神経幹細胞の枯渇や機能
不全を防ぐ一因である可能性が
あるとしており、今後、研究を
さらに発展させることで、ヒト
の脳の老化やガン化を防ぐ新た
な方法の開発につながることが
期待されるとしています。

 ハダカデバネズミは、老化と
ガンに耐性があり、痛みも感じ
ないとされています。分類上ハ
ダカデバネズミに近いモルモッ
トの寿命は数年程度です。マウ
スやモルモットなど、一般的な
ネズミの寿命が数年であるのに
対して、ハダカデバネズミの寿
命は約30年にもなります。

 ハダカデバネズミの生態につ

いて解説している動画です。

 

 

 



 耐性菌が大勢を占めるように
なる。          笑














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2】 飲むワクチン技術の安全性を東大医科研チームが,確認














 お米をすりつぶし、水にとい
て飲めば感染症への免疫がつく。
そんな「飲むワクチン」技術の
安全性を、東京大学医科学研究
所などのチームが確かめました。
開発したのは、下痢などになる
コレラの発症を防ぐワクチン成
分が含まれたコメです。

 菌に汚染された水や食べ物を
口にして感染するコレラは、発
展途上国を中心に現在も年間最
大400 万人が感染し14万人が亡
くなる病気です。経口ワクチン
が実用化されていますが冷蔵が
必要など普及には課題が残され
ていました。

 そこで同研究所の清野宏・特
任教授らはワクチン候補として、
常温保存が可能な穀物のコメに
着目しました。コレラの毒素が
腸管に吸収される際に使う、そ
れ自体は無害な蛋白質の一部を
コメ内部に作れるよう、遺伝子
を組み替えた専用のイネを開発
しました。

 このコメを粉にして生理食塩
水に混ぜれば飲むワクチンが完
成します。成分が腸管で吸収さ
れ、異物に対抗する「抗体」が
作られて免疫がつく仕組みです。
チームはマウスやブタ、サルで、
飲むワクチンの安全性や効果を
検証した上で、2015~16年、医
科研付属病院で成人男性60人が
参加した臨床試験(治験)を実
施しました。

 その結果、ワクチンを飲んだ
人に重い副反応は確認されませ
んでした。40~75%の人の血中
には、コレラ毒素の吸収を抑え
る抗体も出来ていました。ワク
チンを飲む量が多いほど抗体の
量が増える傾向も確認できたと
いうことです。

 今後は企業と協力し、より大
人数の治験で有効性を見極めて
実用化したい考えです。現在は
東京・白金台にある医科研の一
室で専用のイネを栽培していま
すが、植物育成のノウハウを持
つ千葉大などと共同で大量栽培
を急ぐということです。

 清野さんによると、動物実験
では3年間常温保存していたコ
メを使って免疫をつけることが
できました。飲むワクチンは、
呼吸器の粘膜から主に感染する
武漢熱ウイルスなどにも応用で
きる可能性があるということで
す。「注射器や冷蔵保存が必要
ないコメは究極のワクチンにで
きる。実用化を急ぎたい」と話
しています。治験の成果は専門
誌ランセット・マイクローブに
掲載されました。

 経口ワクチンの臨床試験につ

いて解説している動画です。

 

 

 

 



 仙門に入ることで、仙人の専
門家とみなされる。    笑












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編集後記


 ハダカデバネズミは、老化と
ガンに耐性があり、痛みも感じ
ない上に、寿命が30年もあると
いうのに驚きました。実験でマ
ウスを飼ったことがありますが、
長くて、数年の寿命だったのを
覚えています。こんな長寿ネズ
ミがいれば、これを徹底的に調
べて長寿の秘密を探るのは非常
にエレガントな手法と言えまし
ょう。人間でも110 歳以上のス
ーパセンテナリアンを調査して
特殊な免疫細胞を保持していた
ことが分かったばかりです。ま
あ、ネズミの話を人間の話に持
ち上げるには、種の壁があって
大変だと思いますが、着眼点は
素晴らしいと思いました。
 お米をすりつぶし、水にとい
て飲めば感染症への免疫がつく。
そんな「飲むワクチン」技術の
安全性を、東京大学医科学研究
所などのチームが確かめたのは、
素晴らしい業績です。コレラに
は、真正コレラとエルトール型
コレラがあり、エルトール型コ
レラは、症状が軽いため、イン
ドネシアなどはコレラであると
認めていません。ただエルトー
ル型コレラであっても、不快な
下痢症状は続くのでこうした飲
むワクチンが開発されるのは、
旅行者(特に東南アジア等)に
とって旅行者下痢症を予防する
のに有用であると私は考えてい
ます。

 不快な症状を改善する方法の
深い医療技術に感銘を受けた。













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