診療マル秘裏話  号外Vol.2500 令和4年8月7日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次

1)細胞接着蛋白質が膀胱ガン増悪・進展に関与す
2)骨格筋ビタミンC不足は筋萎縮や身体能力低下産む











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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 細胞接着蛋白質が膀胱ガン増悪・進展に関与す










 神戸大学は7月13日、細胞の
接着に関わるADAM9 という蛋白
質が膀胱ガンの増悪・進展に関
与しており、ガンの悪性度が高
い方がADAM9 蛋白質の発現が多
いことを発見したと発表しまし
た。この研究は、同大大学院保
健学研究科博士課程前期課程2
年生の森脇遥花らと、台北医学
大学のSung Shian-Ying 准教授
らの研究グループによるもので
す。研究成果は「Biomolecules」
誌にオンライン掲載されていま
す。

 膀胱ガンは、筋肉に「浸潤す
るもの(筋層浸潤ガン)」と「
浸潤しないもの(非筋層浸潤ガ
ン)」に分類され、両者で治療
法が異なます。筋肉に浸潤する
タイプのガンでは、進行率と再
発率が高いため、通常は膀胱を
全て摘出し、転移の可能性のあ
るリンパ節を同時に切除します。
しかし、この手術は患者さんへ
の負担が大きく、手術後の生活
の質(QOL) の低下を招くため、
安全かつ効果の高い新たな治療
法が求められています。

 ガンの増悪機構の一つに、上
皮系細胞が間葉系細胞の性質を
獲得する、上皮間葉転換(Epit
helial Mesenchymal transitio
n;EMT)という転移に関わる機
序があり、膀胱ガン細胞は他の
ガンに比べて、EMT によって高
い転移能を獲得します。ADAM9
は前立腺ガンにおいて、EMT に
関与し、転移を誘導することが
明らかとなっています。そこで
研究グループは、膀胱ガンの悪
化におけるADAM9 の関与を調査
し、ADAM9 が膀胱ガン細胞にお
けるEMT を予防するための新し
い治療標的になり得るかどうか
を検証しました。

 研究ではまず、ADAM9 発現抑
制による細胞増殖抑制効果を確
認しました。正常な細胞では体
や周囲の状態に応じて、細胞の
増殖が調節されていますが、ガ
ン細胞は体からの命令を無視し
て増え続けるという特徴があり
ます。ADAM9 の発現を抑制しな
い場合には時間経過に伴ってガ
ン細胞が増えていますが、ADAM
9 蛋白質の発現を抑制した場合
には、非筋層浸潤ガン・筋層浸
潤ガンのどちらにおいても、膀
胱ガン細胞の増殖は有意に抑制
されました。

 また、筋層浸潤ガンにおいて、
ADAM9 の発現を抑制すると、膀
胱ガン細胞による傷の治癒力が
有意に抑制され、発現を抑制し
ない場合と比べて傷が塞がりま
せんでした。傷口が治癒される
際、傷口へ向かって細胞集団の
移動が起こりますが、これがガ
ンの浸潤や転移に関わるため、
ADAM9 の発現抑制によって傷の
治癒が抑制されることは、ガン
の浸潤や転移を起こしにくくす
るということを意味するという
ことです。

 そして、ADAM9 の発現を抑制
すると、非筋層浸潤ガンにおい
てVimentin発現量の減少とE-ca
dherinの上昇が見られ、筋層浸
潤ガンにおいてVimentinおよび
N-cadherinの減少とE-cadherin
の上昇がみられました。Viment
inとN-cadherinは間葉細胞に特
有の物質で、E-cadherinは上皮
細胞に特有の物質であり、この
ことから、ADAM9 の発現を抑制
することによって、EMT が抑制
される(間葉細胞の特有物質を
減らし、上皮細胞の特有物質を
増やす)ことが示されました。

 さらに、ADAM9 蛋白質の発現
は悪性度の高いガンにおいてよ
り多く、ADAM9 がガンの増悪の
一因であることが示されました。
さらに、周囲の細胞や筋肉への
浸潤があるガンにおいて、ADAM
9 蛋白質の発現量が有意に多い
ことが明らかになりました。正
常な細胞や周囲に浸潤のないガ
ンと比較し、浸潤のあるガンに
おいてADAM9 蛋白質の発現が多
いということは、ADAM9 が膀胱
ガンの浸潤・転移に関わってい
るということです。

 以上の結果から、ADAM9 は膀
胱ガンにおいて細胞増殖や転移
に深く関与しており、それによ
ってガンの増悪・進展を引き起
こすことが示唆されました。現
在、前立腺ガンにおいてもADAM
9 の関連性を検討しているとこ
ろだということです。将来的に
は、ADAM9 をターゲットにした
ガンの予後予測や新たな治療法
の開発による臨床への応用が期
待されます。「今後は、医学ー
保健学分野にとどまらず、工学、
薬学の分野とも協同し、さらに
は社会科学の分野とも連携した
ビジネス展開も視野に入れてい
く」と、研究グループは述べて
います。

 膀胱ガンの症状について解説

している動画です。

 

 

 



 蛋白質の発現について発言す
る。           笑















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2】 骨格筋ビタミンC不足は筋萎縮や身体能力低下産む














 東京都健康長寿医療センター
は7月14日、骨格筋でのビタミ
ンC不足は、性別に関係なく筋
萎縮や身体能力の低下をもたら
すことを明らかにしたと発表し
ました。この研究は、同大東京
都健康長寿医療センターの石神
昭人研究部長、滝野有花研究員、
滝沢晶子連携大学院生らは、韓
国釜山大学のJaewon Lee教授、
順天堂大学の町田修一教授らの
研究グループによるものです。
研究成果は,「Biology」電子版
に掲載されています。

 標準的な男性や女性の骨格筋
量は、体重の約30~40%を占め
ています。また、骨格筋にはビ
タミンCが存在します。研究グ
ループは先行研究で、ヒトと同
様に体内でビタミンCを作れな
い雌のビタミンC合成不全マウ
スを用いて、血漿や骨格筋のビ
タミンCが減少すると筋肉にど
のような影響があるかを調べま
した。そして、ビタミンC不足
期間が長くなるにつれて、筋肉
を構成する筋線維が細くなり、
筋重量が減少して、再びビタミ
ンCを与えると回復することを
明らかにしています。しかし、
この現象は雌だけに認められる
のか、雄でも同様にビタミンC
が減少すると骨格筋の筋線維が
細くなり、筋重量が減少するの
かは分かっていませんでした。
同研究ではこれらの点を明らか
にしました。

 今回の研究では、雄のビタミ
ンC合成不全マウスをビタミン
C投与群と非投与群の2群に分
け、4、8、12、16週間後に腓腹
筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨
筋、長趾伸筋などの骨格筋の筋
重量を測定しました。腓腹筋の
ビタミンC量は、高速液体クロ
マトグラフィーと電気化学検出
器を用いて測定しました。自発
活動量は、XY赤外線ビームによ
り1日の移動距離を測定しまし
た。筋力は、ワイアハング試験
により、落下までのぶら下がり
時間を測定しました。全身持久
力は、トレッドミルにより疲労
困憊までの走行距離を測定しま
した。

 その結果、ビタミンC非投与
群では、4週間で骨格筋のビタ
ミンC濃度が著しく低下しまし
た。また、非投与群の腓腹筋、
ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、
長趾伸筋の筋重量は、12週目か
らビタミンC投与群に比べて有
意に低値を示しました。非投与
群の全身持久力は、8週より、
また自発的活動量は、12週より、
ビタミンC投与群に比べて有意
に低値を示しました。これら、
筋重量の低下や全身持久力、自
発活動量の低下は、ビタミンC
を再投与することにより回復し
ました。このように、ビタミン
Cは骨格筋の機能維持に不可欠
であることが分かりました。

 また、これらの現象は、以前
に報告した雌での結果と同様で
した。しかし、筋重量の減少や
身体能力の低下は、雌の方が雄
に比べて早期に認められたとい
うことです。

 同研究により、ビタミンC不
足は、雌雄など性別に関係なく
骨格筋の萎縮や身体能力の低下
をもたらすことが明らかとなり
ました。また、ビタミンCの再
投与により、性別に関係なく回
復できることも明らかになりま
した。「この研究成果は、筋肉
でのビタミンCの機能解明に大
きく貢献するものと期待される」
と研究グループは述べています。

 ビタミンCと筋トレについて

解説している動画です。

 

 

 

 



 資金減少の現象について説明
する。          笑













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編集後記



 神戸大学が7月13日、細胞の
接着に関わるADAM9 という蛋白
質が膀胱ガンの増悪・進展に関
与しており、ガンの悪性度が高
い方がADAM9 蛋白質の発現が多
いことを発見したと発表したの
は、素晴らしい業績です。ADAM
9 という蛋白質は、上皮間葉転
換(Epithelial Mesenchymal t
ransition;EMT)という転移に
関わる機序に関与します。この
蛋白質を抑制することでガンの
新たな治療法の開発による臨床
への応用につなげて頂きたいも
のです。
 東京都健康長寿医療センター
が7月14日、骨格筋でのビタミ
ンC不足は、性別に関係なく筋
萎縮や身体能力の低下をもたら
すことを明らかにしたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
マウスや犬・猫では、わずかな
がら、体内でビタミンCが合成
可能であることは知られていま
す。その状態では、ヒトのビタ
ミンC不足の状態を再現するこ
とは、できないためビタミンC
合成不全マウスを使うことにし
たのだと思います。

 際限なく映像を再現した。笑















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