診療マル秘裏話  号外Vol.2506 令和4年8月14日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨




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目次

1)Orion社はメルク社に前立腺ガン治療薬をライセンス供与
2)排尿障害と歩行障害は認知症と関係の場合あり












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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 









 
1】 Orion社はメルク社に前立腺ガン治療薬をライセンス供与













 すでに販売されているニュベ
クオを誇るOrion 社は、次の大
きな希望である前立腺ガンをメ
ルク社にライセンス供与してい
ます。フィンランドのOrion 社
は、ガンと疼痛に焦点を当てる
ために研究開発を縮小してから、
わずか4ヶ月で、その恩恵を受
けることができました。今日(
2022年7月13日)、米メルク・
アンド・カンパニー社と締結し
たライセンス契約は、前立腺ガ
ンの中期のプロジェクトである
ODM-208 を対象としており、契
約一時金の額としては今年2番
目の大きさです。

 この提携は、メルク社が前立
腺ガンへの取り組みをさらに強
化することを示すもので、米国
グループはすでにリムパーザ(
一般名:オラパリブ)の遺伝子
変異に基づく適応を取得してい
ます。一方、あまり知られてい
ないOrion 社は、独バイエル社
と提携して非転移性疾患を対象
に販売されているニュベクオ(
一般名:ダロルタミド)をベー
スにしています。

 2億9000万ドルの取引のきっ
かけは、Orion 社が研究開発の
集大成としてODM-208 を発表し
たことに加え、2022年2月のAsc
o-GUで発表されたデータであっ
たと思われます。この学会では、
ODM-208 を始めてヒトに投与し
たCypides 試験の結果が紹介さ
れました。44名の転移性去勢抵
抗性前立腺ガン患者さんは、ザ
イティガ(一般名:アビラテロ
ン)やイクスタンジ(一般名:
エンザルタミド)で進行した患
者さんばかりでした。32%がPS
A 値50%以上の減少を達成し、
アンドロゲン受容体リガンド結
合ドメインに変異を有するサブ
グループでは68%にまで達しま
した。

 ODM-208 は、ステロイドの生
成に関与する酵素であるチトク
ローム P450 11A1を阻害するこ
とにより作用します。前立腺ガ
ンでは、ザイティガやイクスタ
ンジ治療後もアンドロゲン受容
体が寄与し続けており、非アン
ドロゲン性ステロイドホルモン
によって再活性化されると考え
られています。

 ODM-208 は、ステロイドの生
合成を完全に停止させ、前立腺
ガンの進行を抑制するとされて
います。Evaluate Pharma 社は、
CYP11A1 阻害に関する他のガン
領域での研究成果を確認できて
いません。米Angion社はチトク
ロームP450阻害に積極的で、前
臨床でCYP17 阻害剤ANG-3279を
前立腺ガンで検討していました
が、現在は中止されており、CY
P11B2 阻害剤を開発しています
がガンを対象とはしていません。

 いずれにせよ、メルク社は明
らかに抗ステロイド剤によるア
プローチの可能性を説得されま
した。メルク社は、ODM-208 と
他のCYP11A1 阻害剤の共同開発
権として2億9000万ドルをOrio
n 社に提供し、世界的な独占ラ
イセンスを取得するオプション
も保有しています。

 メルク社と英アストラゼネカ
社のリムパーザは、HRR 遺伝子
変異を有する二次治療患者さん
への使用を認めるという異例の
広範な米国での承認のおかげで、
既に去勢抵抗性前立腺ガンの分
野で地位を確立しています。し
かし、リムパーザとキイトルー
ダの併用は、3月に前立腺ガン
を対象としたKeylynk-010 試験
で失敗しています。

 それにもかかわらず、メルク
は明らかに前立腺を本命視して
おり、Orion 社は神経科学と吸
入薬物送達への投資を削減し、
ガンと疼痛に注力することでプ
レゼンスを確立する意向を示し
ていました。フィンランドのOr
ion 社は、ニュベクオとODM-20
8 を楽観視できる理由として挙
げています。

 前者はバイエル社に権限が譲
渡され、非転移性の去勢抵抗性
前立腺ガンで承認されています。
また、今年NEJMに発表されたAr
asens 試験の良好なデータによ
り、ホルモン感受性前立腺ガン
という第2のニッチな分野への
可能性も開かれました。

 ホルモン感受性前立腺ガンに
関しては、ザイティガが、また
非転移性の去勢抵抗性前立腺ガ
ンと併せてイクスタンジが、既
に発売されていますが、Evalua
te Pharma 社のコンセンサスに
よれば、ニュベクオは2026年ま
でにブロックバスターになると
予想されています。ODM-208 は
まだほとんどのアナリストのモ
デルには含まれていませんが、
両社はこの事実がすぐに変わる
ことを望んでいます。

 前立腺ガンについて解説して

いる動画です。

 

 

 



 予想に基づいて決定を下すの
は止そう。        笑













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2】 排尿障害と歩行障害は認知症と関係の場合あり















 高齢者に多い頻尿や尿失禁な
どの排尿障害と、歩行障害は、
認知症と関係している場合があ
ります。東邦大学医療センター
佐倉病院(千葉県佐倉市)脳神
経内科の榊原隆次教授は「薬で
治療可能な症状も少なくありま
せん。年のせいだと思わずに、
認知症なども疑ってみることが
大切です」と話しています。

 認知症に伴う排尿障害は、就
寝後に2回以上トイレに行く夜
間頻尿、突然表れる尿意切迫感、
トイレに間に合わない切迫性尿
失禁が代表的です。歩行障害も
重なっている場合が少なくあり
ません。

 榊原教授によると、認知症の
タイプにより、目立つ症状は異
なります。「アルツハイマー型
認知症では認知症の症状が強く、
排尿障害や歩行障害は目立ちま
せん。反対に、脳血管性認知症
は排尿障害と歩行障害が強く出
ます。レビー小体型認知症は、
認知症、排尿障害、歩行障害の
いずれも目立ちます」。

 認知症が脳血管性の場合は、
排尿機能に関わる神経がある、
脳の前頭葉で血流が低下します。
レビー小体型は排尿や尿をため
る機能を担う脳の基底核と呼ば
れる部分に異常が生じるため、
排尿障害が起きやすいというこ
とです。

 排尿障害の診断には、膀胱機
能を調べるウロダイナミクス検
査や、超音波を使った残尿測定
検査などを行います。また、腰
部脊柱管狭窄症や糖尿病、男性
の場合は前立腺肥大症など、排
尿障害の原因となる他の疾患が
ないかも調べます。

 治療では、β(ベータ)3刺
激薬で膀胱の筋肉への不要な刺
激を減らし、尿意切迫感や頻尿
などの症状の改善を目指します。
「従来の抗コリン薬と違い、認
知機能の低下に影響する心配が
ないので、現在は広く使用され
ています」と榊原教授は言って
います。

 認知症が進行すると、排尿障
害がなくても、認知機能や運動
機能の著しい低下から尿失禁が
起こるようになります。「患者
さんの排尿ペースに合わせた周
囲の声掛けや、超音波による残
尿測定器の使用、おむつやパッ
ドをうまく利用するなどで、Q
OL(生活の質)を高めるとよ
いでしょう」

 榊原教授は「高齢者にありが
ちな頻尿や歩行障害は、脳の病
気の前触れとも言われます。病
気として捉えることで、治療や
予防がある程度可能です。健康
寿命を延ばすためにも、早期受
診してください」と呼び掛けて
います。

 認知症の失禁・排泄の失敗の

対応について解説している動画

です。

 

 

 



 補講に行こうと歩行を続けた。














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編集後記



 米メルク・アンド・カンパニ
ー社と締結したライセンス契約
は、前立腺ガンの中期のプロジ
ェクトであるODM-208 を対象と
しており、契約一時金の額とし
ては今年2番目の大きさという
ことなので、こうしてライセン
スを供与して得られたお金を、
更に、新しい研究資金にするの
は、ベンチャー企業の常だと言
うことです。44名の転移性去勢
抵抗性前立腺ガン患者さんは、
ザイティガ(一般名:アビラテ
ロン)やイクスタンジ(一般名:
エンザルタミド)で進行した患
者さんばかりであり、32%がPS
A 値50%以上の減少を達成し、
アンドロゲン受容体リガンド結
合ドメインに変異を有するサブ
グループでは68%にまで達した
という成績がこの結果を産んだ
のだと理解しました。
 高齢者に多い頻尿や尿失禁な
どの排尿障害と、歩行障害は、
認知症と関係している場合があ
るというのは、本当だと思いま
す。しかし、認知症は、アルツ
ハイマー型やレビー小体型や脳
血管障害型だけではありません。
頻度としては、少ないのですが
早期発見されれば、シャント手
術で治る認知症、即ち正常圧水
頭症があるのです。この正常圧
水頭症は、排尿障害が必発であ
り、排尿障害でこの病気を疑う
こともあるほどです。認知症は、
進行してしまうと治療は、進行
を遅らせるだけになってしまい
ます。それは正常圧水頭症でも
同じです。しかし、適切なシャ
ント手術さえ、早期発見して行
うと認知障害が消えるというの
は凄いことだと思います。

 地形が起伏に富んでおり侵攻
した軍隊が進行するのは困難だ
った。          笑
















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